電車の中でのこと。
さっきまで隣に座っていた女の子がポテロングを食べていた。
ポリポリといい音をさせて。
15㎝ほどのポテロングを食べ切る度に、
親指と人差し指をすりあわせ、
ポテロングの粉を払う。
自分にかからないようにするものだから、
私と彼女の境界線に粉が舞う。
………イッラー
音にもいらついていたけど、
その無神経な態度、なんやねん。
ここは家のコタツやないんや。
公共の場所や。
私はあんたの家族じゃない。
遥かに遠い他人や。
彼女の顔が馬鹿に見え、
その人自身が下品に思えた。
こんな人の隣、嫌や。
と思ったものの、厭味に立ち上がる勇気もない私。
そこに着信が。
仕事の電話にすばやく席を立ち、電車から脱出、
電話にはいつもより愛想よく答えた。
ポテロング地獄から逃れた感謝をこめて。
私の気が短いのか?
みんなは気にならないのか?
まず、ものを食べる行為は、本来恥ずかしいものだと私は思う。
ご飯を共にすると、関係性が密になるのは、
そんな恥ずかしい行為を見せ合うからだと思う。
かつて、デートに焼肉を食べるカップルは、
すでに深い仲にあるという定説があった。
肉のように、明らかに命を屠ったものをがっつき合う姿は、
野性に近いものがあるからじゃないか?
人間の本来持つ欲望を満たす行為は、なんだって恥ずかしいもんなんだと私は思う。
食欲、生理欲、性欲。
最近では、自己顕示欲も。
そうです。
電車内でポテロングを食べる行為は、
己の欲望を抑えることができない馬鹿だと発表してるってこと。
早く気付けよ。
以前は、飴を次々に口に入れる女にもいらついたことがある。
飴をカリカリ噛む音、その匂い、
読んでる本が全く頭に入らなくなった。
意外に響くものです。
ポリポリもカリカリも、本来は嫌な音ではない。
適切な場所で聞いたら、
アンジェラアキの手紙を初めて聴いた時と同じような癒しを感じるかもしれない。
それにしても、ポテロング一つでこんなに怒れる私、
平和よね~。