私は、すねに傷持つ女です。
両足合わせ、10枚も絆創膏を貼っている。
金曜日の夜のこと。
犬の調子が悪そうで、
庭から玄関に入れてあげた。
母が、防寒のため座布団をと、玄関に行った直後、
母の悲鳴と犬のうなり声が聞こえた。
犬が急にキレたようだ。
恐ろしい形相の犬に動けない母親。
駆け付けた私の目には、地獄図に見えた。
とともに、犬がトーンダウンした。
私とともに、猫のケンが駆け付けていたのだ。
犬のヤマトは、ケンに弱い。
しかもケンはそれを知っている。
ケンは、母を助けようと今にも飛び掛からんとしている。
母は、手を噛まれたようだ。
まだ興奮冷めやらぬヤマトにかかれば、ケンの命に関わる。
必死でケンを追い払う。
すると、ケンが私に刃を向けた。
私の足に飛び掛かるケン。
母からは、犬の気を逸らすために、
ジャーキーを持ってくるよう頼まれた。
居間に戻る私を執拗に狙うケン。
往路は右足、復路は左足、
ジャーキーを運ぶために都合5回は噛まれた。
ほうほうの体で玄関に戻ると、
「もうジャーキーはええから、靴取って」と母から新たなミッションが課された。
犬に追い詰められた母は、庭に逃れる様子。
靴を取る時も、ケンに狙われ続ける私。
とっさに掴んだ30㎝の定規で応戦。
やっとのことで、母も私も窮地を脱した。
母にケンを捕獲してもらい、檻に入れてもらって安全を確保。
母の傷を心配しながら、
自分の足に違和感を感じた。
なんぼ言うても、ジーンズ履いてるし、
傷は浅いはず…と思いきや、
自分の足にビックリ。
血まみれやん!
猫のあごの力で、内出血もしている。
泣きたくなったが、
私以上にショックを受けている母を見ると、
「ヤマトは置いといて、ケンはお母さんのために、犬に飛び掛かろうとしたんやで」
「ヤマトは分からんけど、ケンはお母さんの味方や」
と訳の分からない慰めを言う私。
そんな私を心配そうに見上げる猫のラン。
あぁ、愛おしい。
傷に絆創膏を貼る私を、檻の中から見つめるケン。
俺もやり過ぎたぜ、すまん。
そう言っているように見えた。
気のせいか?