見下ろした水面に
ふっ、と言葉を落とす。
ゆっくりと静かに
幾重にも拡がる波紋の中で
砕けた言葉が散らばってゆく。
no name, no life
名前を失くしたら
歩いていけないのかもしれない。
繰り返す、繰り返す
胸を満たす音を
繰り返して繰り返しては空を仰ぐ
春の匂いは
くすぐったくて、
眠たくて、
あたたかくて、
なのに肌寒くて
やさしいのに、
かなしくて
あっという間に
眠りから目覚めるまえにはもうきっと行ってしまう
何処か視えない処へ。
懐かしくもない
ずっと傍に在った訳でもない
心もそこに在ったかもわからない
なのに。
すぐ散る花びらは
そこらじゅうを綺麗に汚すから
踏み散らかされて
もう綺麗でもなくなってしまう。
ほんとうに、瞬く間に。
風に吹かれるようには
何処かへは行かれないから
花びらのように
簡単に頭は落ちないから
born again
何度も何度も
生き直さなくちゃいけないのに
声が聴こえない
わたしには
わたしを呼ぶ声が聴こえない
愛してやれなくて
慰めてもあげられない
赦してもやれなくって
なのに諦めてもあげられない
混在する意識は
好いたモザイク柄のように
ひとつひとつが混じり合えない
蹴り飛ばせない
此処には
朝が来てるのかどうかさえ
よくわからない
呼ばれる名前は、もう無い。
わたしはわたしを、呼べもしない。
こんなにも
むずかしいことが
なんでずっと、出来ていたんだろうか。
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