大きな木の、たくさんの枝の向こうから
こぼれる光が放射状になる位置を探すのがすき。
大きな影絵ミタイで、とてもすき。
千切れたような雲の切れ間から
射し込むように降りてくる光の階段に
うっとりしている時間がすき。
わたしの何かは何処かでちゃんと、
きっと許されているような気がして。
レースアップのブーツの紐を足首できゅっと結んで
ソールが小気味よく鳴るように歩くのがすき。
その音にまた背筋が伸びて、どこまでもちゃんと綺麗な姿勢で力強く歩けそうな気がするから。
左側に頭をもたれて揺れる電車で
流れてゆく車窓の景色を眺めたまま
気付いたら眠ってしまっている時間がすき。
ドナドナな気分をゆったり遮られるように眠れているから。
何処かへ何処かへ
何かを押しやっていくんじゃなくて
何かへ何かへ
赴いていくために
すきなものを数えよう。
すきな感覚を思い出すことで満たせるように何かを想おう。
眉もひそめず唇も震わさずに
ぎゅうぎゅうになった電車の中で、うっかりこぼしてしまった。
ぽたぽた落ちたそれは
わたしが悲しい顔をしなければきっと
悲しいものには見えないだろう、と
抑えられないそれを
必死でそのままにした。
こんな気持ちは
あとどれだけ襲うんだろう。
こんな想いを
あとどれだけ噛み潰せばいいんだろう。
そんなものに塗れて
心を失くしていきたくはないからだから、
だめなときはだめなまま
もう何も頑張らない夜。
知らない、言わない
聴かない、
想わない。
もう。
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