call me | tiny-heaven

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背骨を真っ直ぐに打ち直したら

肋骨を帆にして

リズムを持った心を紡ごう


脚を鳴らして
胸を震わせて。




一眼レフのSDカードの中に
かわいい女の子と江ノ島に行ってる写真を見つけた。

海と、水族館。

好意のあるアングルだった。
ファインダーを覗く彼を見た。


そのまま動けなくなって
仕事から帰ってくる彼を待った。

喉の奥の奥まで言葉が詰まって
変な空笑いしかできない。
手と、喉の奥がずっと震えてた。

ただならぬわたしの様子を感じて彼は黙っていた。
そしてわたしの知らない、眉をひそめた顔をしてた。



勝手にカメラの写真を見たこと。
それがほんの最近だったこと。
昨夜コートについてた長い髪の毛のこと。
もうわたしのことをすきじゃないんじゃないかということ。

少し呼吸を数えながら、
ゆっくりゆっくり話した。


うつむいて、黙って、
しかめた顔を上げると
静かに彼は「ごめん。」と言った。



遊びに行った経緯を話した。


そして。

わたしのことを話し出した。



手紙とか、メールとか
愛されてるなあって思っていた
けど、それと同等の気持ちを返さなくちゃと思うと言葉にならなかった

すきだけど、
それは恋人としてなのか人としてなのかがわからなくなってきてしまって
正直避けていたこともあった

今は距離を置きたい

都合のいい話だけど
縁は切りたくない。
友達として繋がっていたい


そんなことを言ってた気がする。
よく憶えていないけども。


目の前で話してるこの人は誰なんだろうなってぼんやり聞いていた

いつもは隣り合わせの位置なのに、今日はテーブルの向こう側に座って
わたしのことをもう必要としてくれないこの人は
なんでこんなに泣いているんだろう

わたしはもう要らないって泣いてるようにしか聞こえなくて
わたしの涙は行き場をなくしてしまった。



ああ
やっぱりそうだったんだなあ
気のせいじゃなかったなあ

胸が、ずっと
握り潰されてるミタイに ぎゅうぎゅうしてた。


わたしはずっと
自分に向けられる彼の気持ちに悩んでいて
彼は彼でずっと
自分の中の想いに葛藤をしていたんだなあと思うと
名前のある関係になったことさえ

余計なことだったのかもしれないと思えてきてしまった。



もう顔をくしゃくしゃにして泣く彼を慰めても、抱きしめても
全然わたしは泣けなかった。

泣けないだけこの事実に殺されていくようだった。


彼の胸元に顔を埋めて
世界でいちばん落ち着く匂いを嗅ぐ。

ほんの、すこし。


ねえ。
昨日からずっとね、
あんまり匂いしないんだよ。
もう嗅げなくなっちゃったのかなあ、、


なんだよそれわかんねえよって
彼は少し笑った



このいい匂いはさあ
わたし以外の人も嗅げたりするのかなあ


無理だねっ!って素早く答えた彼の声はまた涙声になっていて

そこでようやく
わたしの鼻腔の奥がつん、とした。



それならなんで。

そんなに泣くならなんで一緒にいられないの。

要らなくないならなんで。


わたしといて安心するんでしょ?
なのになんで。



言えなかったことも
たくさんあった。

言いたかったことは
少し伝えられた。

声をあげて、泣くことも
いやだって言うことも
こんなにこんなに
心ごと引き千切られるように痛い。




最後の夜は
ずっと抱きしめててくれた。


悪夢が絶えずに来て
その度うわっと目覚めては
意味のわからないくらい体が震えた。

どれだけ抱きしめて直してくれても
唇はもう、重ねてくれなかった。

ほんとにこの人は
もうわたしを恋人としては見ていないんだなあって

もう目の前が見えない。



見えてるんだか見えてないんだか
歩けてるんだかそうじゃないのか

生きてるのに
死んでるようだ




このままわたしは

消えてしまいたい。




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