警察犬訓練士には、直轄警察犬の訓練士と嘱託警察犬の訓練士がいます。
直轄警察犬の訓練士は警察官採用試験に合格し警察の鑑識課などの部署に配属されている国家公務員ですから一般の飼い主さんには関係ありません。
嘱託警察犬の訓練士は民間の警察犬訓練所か警察犬訓練学校に入学し、公認訓練士の資格を取った人たちで民間人です。
嘱託警察犬訓練士は国から給料が出るわけではなく警察犬の訓練だけしかしてはいけないというわけではないので、ビジネスとして一般客を対象に家庭犬の訓練なども受託しているわけです。
さて、犬の業界に関して知識のない人たちは、獣医師がどこも同じ診断と治療をすると思い込んでいるのと同じように、犬の訓練とかドッグトレーニングも大抵同じことをするんだろうと考えがちです。
ですが、『警察犬訓練士』と名乗る人たちは基本的に全てが
強制服従訓練ベースの手法を行います。
いわゆるチョークチェーンで飼い主の指示に従わないとジャリッっと音を立てて引き、ショックを与える『嫌悪刺激』でリーダーウォークという訓練をしますし、
全ての訓練は状況に応じて脅したり叩いたり蹴ったりという体罰が使われます。
(実際にドッグトレーナーの専門学校に通っている生徒が警察犬訓練所から来ている訓練士の講師から指示通りに動かない訓練用の大型犬を蹴るように指導を受け、拒否したら単位がもらえなかったと教えてくれました)
また組織としていまだに支配性理論(パックリーダー論)を信じているので、
犬はまず主従関係(上下関係)を叩き込むことから始めないといけないと思っています。
そして、飼い主に対する反抗的な行動は権勢症候群という今や学術的に否定された本能のせいにします。
「そんなわけないでしょ!人によっては叱らない躾をやってくれる訓練士もいるのでは」
と思うかもしれませんがそうではないんですよ。
公認訓練士の資格を出しているのが、
(一社)ジャパンケネルクラブ、
(公社)日本シェパード犬登録協会、
(公社)日本警察犬協会
の3団体ですからこの古臭い団体が提唱している方針を否定したり、自分だけ応用行動分析学ベースの最新のトレーニングを公(おおやけ)に行うことはできません。
警察犬訓練士の肩書きを剥奪されたくなければ、体罰容認の強制服従訓練をするしかないわけです。
さて、そんなわけでこのリンク先の警察犬訓練所の所長の方針を読んで欲しいのですが...
決して長い文章ではないのですぐに読めます。
面倒臭いという人のためにかいつまんで書くと、
「子供が悪いことをしたら親として当然叱るでしょう。 それは子に対して愛があるからです。愛があるなら犬も叱るところから始めましょう」というのです。
さらに、「 我が訓練所では愛犬を叱れないお客様は、ご遠慮させていただきます」ともおっしゃっていますね。
叱るしか訓練方法を知らないんでしょうね😮💨
この人が間違っているのは犬に対し誤った擬人化をしているところです。
なぜ訓練士と言われる人たちは 「犬を擬人化するな!」と言いながら自分達の都合のいいところだけ擬人化するのでしょうね。
以前もお話ししましたが、
人間の子供は善悪の概念や『愛のムチ』『将来のため』などという概念が理解できるので、自分が叱られても仕方がないことをしたのだという理解と反省ができますし、親が本気で自分の将来のために叱ってくれているのならそれが認識できます。
それに対し概念的な理解ができない犬にとって強く叱られることは飼い主からの『怒り』や『攻撃』または『錯乱』でしかありません。
自分が悪かったという概念的な反省はなされず、どうしたらその嫌悪刺激を避けられるかという学習しかしません。
また人間の子供はいずれ親離れして理不尽な上司や社会の中で生きていく必要があるので、家庭である程度の理不尽さや強い叱りに慣れておかないと実社会のストレスに免疫ができず、後々苦労するでしょう。
一方、犬は一生飼い主の加護の元で暮らしていくので、むしろ飼い主が決して自分に対し怒ったり攻撃してきたりしない存在だという信頼関係を築かなければいけません。
そもそも叱るという行為が愛があるから生じたことだと犬に理解してもらえるはずがありません。
そう信じているなら犬の訓練士をやる資格などないほど犬のことが分かっていませんね😮💨
人間の子供に対するしつけと犬に対するしつけはそれほど違っているのです。
犬に何かを教えたければまず『正解』を理解させなければいけません。
正解を教えるもっとも基礎的な方法は誉めることです。
まず始めるのは叱ることではなく誉めることなのです。
そして間違っていることを伝えるには叱るのではなく、
誉めなければいいだけです...