世の中には犬や猫の行動に関して「こういう行動はこういう意味だ!」とあたかも学術的な裏付けがあるかのように伝える言動や記事、さらには書籍に溢れています。
動物行動学者の充分な対象数に対して行った観察や実験の結果導き出された報告を伝えるならまだしも、「そうおっしゃる根拠はなんですか?」と聞くと大抵は「前にどこかで聞いたことがある」だとか「JKCのトレーナーが言ってた」とか、ネットの記事に書いてあった」程度のものです。
「動物行動学者の誰それの何年に発表されたこの論文に書いてあった」とか、「どこどこ大学の100頭を超える母数の様々な犬種に対して行った研究結果で何年に報じられた内容だ」などという、いわゆる『エビデンス』はありません。
近頃、漫画になっているドッグトレーナー系の話も部分的には正しいことを言っていても、中にはとんでもない嘘をさも定説のように描いていたりします。
今度NHKで『ドッグシグナル』という漫画がアニメになりますが、
私たち犬の行動学や応用行動分析学を学んでいる者からみると、「えっ!?」と驚くようなエビデンスのないことをさも学術的な裏付けがあることのように描かれている点が多々見受けられます。
調べてみると作者は元トリマーさんでそれほど深くドッグトレーニングを学んだ人ではないんですよね。
それでも漫画やアニメになると登場人物のルックスや単に描かれた犬のリアクションなどに感動して読者や視聴者は鵜呑みにしてしまいます。
でも全部は間違っていないので批判しにくいんですよね😓
また、以前Twitterに書き込まれた漫画家さんのこの話ですが...
『犬にナメられたら駄目だという話』というタイトルで、
犬が飼い主を噛んだのちに気遣うようにペロペロと舐めてきたら
「今度 言うことをきかなかったら、もっと強く噛みますよ」
と言う意味だと伝えています。
なので早めの矯正が必要だと...
犬にナメられたら駄目だという話 pic.twitter.com/58FFYuWacU
— 石原 雄 (@K5dbZRmjNe77i5r) February 5, 2022
これを鵜呑みにするフォロワーさんたちの多いこと😅
漫画やアニメは影響力が大きいので本当に困ります...
そしてそれはおかしいのではないかと異議を唱える人に対しては、
「今回は犬同士の行動を人にやってしまっているということが問題で、決して上下関係を教え込まねばいけないという話ではなく、人との関わり方(信頼関係)を築かねばいけないということでございますした」(原文ママ)
と言い訳しています。
でも犬同士でこのような行動(噛んですぐ舐める)が相手に対する警告(脅し)であるという動物行動学的発表も私は読んだことがありません...
その後、別の人が「大変お手数ですが、その犬同士の上下関係や、噛んだあとに舐める行動を「という意味である」と断言されている科学的な根拠を教えていただけますか?」と丁重にお願いしていますが石原氏は答えていません。
多分、石原氏はこの『わんちゃんホンポ』のなんの肩書きもないライターが書いた記事を鵜呑みにしてこの漫画を描いたのでしょう。↓
他の人にこの『わんちゃんホンポ』の記事内の『犬は反省しない』という部分もそのまんま答えていましたのでね😮💨
でも、ろくにまともな専門家の監修もしてもらっていない『わんちゃんホンポ』の、
PV増やしのためにセンセーショナルなタイトルをつけたいがため書かれたような、
出典も書かれていない一般人ライターの記事をなんで鵜呑みにしてしまうんでしょうね?
まぁ、もっとひどい誤解を伝える悪書として廃刊にして欲しいのがこのJKC(ジャパンケネルクラブ)公認家庭犬訓練教士(教師じゃない)と言う肩書きを持つおっさんの著書ですが😮💨
(この本については前にどこかの記事で書いたと思うのですが...)
『試し読み』と言うボタンを押してちょっと内容が読めるのですが、驚異の誤解率ですね😰
こういうなんの根拠もない話をさも動物行動学的裏付けがあることのように飼い主さんたちに伝えて犬と飼い主の関係を悪化させる必要がなんであるんでしょうね?
そうまでしてセンセーショナルな誤解釈(と言うより嘘)を伝えて、本を売ったり話題を作ったりしたいのでしょうか...