みなさんは『優しい虐待』という言葉を聞いたことがありますか?
一般的には人間の親子の間で『愛情』が深い故にやってしまう過保護や過干渉のことをそう言っているようです。
もちろんこれは人間の親子の間だけでなく犬と飼い主の間にも起きることです。
① 要求に応じて過剰な食べ物を与えてしまう
あまりに欲しがる表情や動作についつい過剰な食べ物を与えてしまい、
適正な体重を維持できず肥満させてしまっていませんか?
太るということは贅肉が増えるだけでなく増えた贅肉の中にも毛細血管が広がります。
つまり増えた毛細血管に血液を循環させるための負担が心臓にかかるのです。
それだけでなく犬や猫のような動物にとって肥満は直接病気につながる危険な状態です。
日々、体重を測り記録して少し体重が増えた時点でフードの量を調整し基準の体重を維持できるよう管理しましょう。
そのためにもペット用体重計は必要です。
抱っこして一般の人間用体重計に乗り引き算する方法では誤差が大きくですぎて、
増えたのか減ったのかがよくわかりません。
最低でも100g単位で測ることができる体重計が必要です。
また、飼い主さんが食べているものを少しづつ与えるのも、
カロリーが高すぎますし貰えることがルーティンになってしまうと、
もらえない時に強いフラストレーションを感じますので、
人間の食事中はできれば別の部屋か、食卓が見えない場所にサークルを置いて入っていてもらいましょう。
② 不必要な犬種にサマーカットを施す
夏場暑そうだからとバリカン(クリッパー)で短く毛をカットしてほしいとサロンに頼む飼い主さんが増えていますが、犬種によっては毛周期が止まってしまいその後なかなか毛が生えてこなくなったりします。(特にポメラニアンやスピッツはトラブルが起きやすいので短くしすぎないでください)
しかも肌が透けて見えるほど短くすると紫外線の影響をもろに受け、
皮膚癌になる可能性も高まりますしそれ以前に直射日光が当たると毛が長かった時より暑いです。
毎日ブラシできないので毛玉防止のため短くカットしているトイプーさんなども、
8ミリ以下にしないで、
夏場も外出時はUVガード機能の服を着せて直射日光を避けたほうがいいでしょう。
いずれにせよ地肌が透けるほど短くすると蚊や蜂などにも刺されやすくなりますし、いつもの調子で後ろ足で体を掻くと爪が皮膚を傷つけてしまう可能性もあり涼しいことより悪いことの方が多いのでやめた方が賢明です。
少し勉強熱心なトリマーさんだったらサマーカットを希望しても、様々な危険性を説明してやめた方がいいとアドバイスしてくれると思うのですが、まぁ言ってもこのお客さんは不快に感じるだけだと思っていたら笑顔でニッコリ引き受けるかもしれませんね😀
もちろんシニアや持病で部分的に短くカットしなければいけない場合はやむを得ないでしょうが...
③ 犬を不必要に頻繁に洗う
そもそも犬や猫はそれほど頻繁に洗う必要はありません。
ドッグランへ行って泥んこになるくらい遊んでしまったら洗うしかありませんが、
散歩の後必ず洗剤をつけて足を洗うとか、毎日一緒にお風呂に入ってシャンプーするなど
犬の皮膚にも被毛にもよくありません。
自己免疫力も弱まり乾燥肌になって皮膚疾患になる可能性もありますから、
界面活性剤(シャンプーなど)を使った洗浄はせいぜい週に1回、できれば2週に1回くらいにしておいたほうがいいでしょう。
「いつも一緒にベッドで寝てるから常に綺麗に洗わないとムリ!」なんて言ってる人は、
まさに『優しい虐待』ですね😞
遊んでいて汚れたならできるだけ部分洗いで洗剤は使わずに...
④ 散歩中に他の犬に会うたびに挨拶させる
こういうことをしているとお散歩嫌いになってしまったり、他の犬に出会うたびに警戒して吠えるようになる危険性があるわけです。
いずれ咬まれて愛犬にトラウマをもたせるのが関の山。
知らない犬に会ったら飼い主同士だけでご挨拶だけして、
犬同士は近づけずスルーするのがキホンです。
お互いにカーミングシグナルも読めないわけですから、初見でこの相手なら大丈夫とかこの相手は相性が悪いなど推測できるわけがありません。
⑤ 高温にもかかわらず屋外を散歩させる
黒いトイプードルを30度超えの炎天下にアスファルトの上を散歩させている
若いカップルを見かけたことがありますが飼い主の都合で靴も履かせず50度以上のアスファルトの上を歩かせるのはもはや優しくない虐待ですね。
(靴を履かせても汗をかけず地面から近い犬にとっては苦痛でしかありません)
雨続きで少しでもお散歩させてあげたかったと言うかもしれませんが、
自分が早起きして早朝散歩させるか、気温の下がった夕方以降に散歩させてあげるのが
飼い主としての義務です。
でなければ車で木陰の多い公園まで連れて行くか、屋内の散歩できるスペースに連れて行ってあげるなど工夫してください。
⑥ 過干渉
これは判断が難しいことでもあります。
子犬の頃、できるだけ基本的信頼感を高めるために同じ部屋で過ごすことは
後々の分離不安症を予防するために必要です。
一緒に出かけてたっぷり遊んであげるのもとっても良いことでもあります。
ただ成犬になって以降も犬の方からかまってほしいという行動をしてきていないのに、
飼い主が始終しつこく構いすぎるのはまさに『優しい虐待』と言えるでしょう。
犬は飼い主の気なぐさみのおもちゃではありません。
犬が鬱陶しくなるほど構っていると、しまいには唸って触られるのを嫌がるようになってしまうケースもあります。
過干渉は意識してしないようこころがけましょう。
これだけでなく自分では気づいていない『優しい虐待』も多々あると思います。
自分では優しい飼い主だと思っていても、知らず知らず愛犬を苦しめていることもあるので、
犬の立場になって行動してくださいね。