スワレ、フセ、タテ、マテ、コイ、ハウスなどのいわゆるオビディエンス・トレーニング。
直訳すると服従訓練ですが、日本のトレーニング業界では基本のコマンド(キュー)を教えることを指します。
この通称オビトレというものは、
犬のトレーニングでは比較的簡単なことです。
応用行動分析学的に言えば正の強化と言って、その行動を根気よく待って行ったら褒めて報酬を与えるをタイミングよく繰り返していれば必ずできます。
できたらそれに声付(キュー)をつけて最終的にキューだけでその行動をするように教えればいいのですから😉
でも、その心理学的な段取りをきちんと把握していない人は、
どんなに犬と接する時間が長くても、
どんなにたくさんの犬と過ごしていても、
きちんと教えることができません。
たとえば、「うちでは根気強くなんども言って教えています」
などと言っている飼い主さんのやり方を見てみると、
延々「お座り!」「お座り!」「お座り!」と言い続け、
犬がようやくこれのことかなとオスワリしてみても、その行動をしっかり褒めません。
酷いケースでは最終的にオスワリできたのに
「そうでしょ?なんでできないの?」
などと低い声で怒ったように言って終わりです...
犬の表情を見ていると困ったような面倒くさいような、明らかに楽しそうではありません。
そんな調子では自主的に行動を学ぶ気にはなりませんよね?
正解の教え方も、段取りも、タイミングも、報酬の与え方も
全部間違っています😞
例えば「オスワリ」を教えたいのであれば、
指を一本立てて注目させ、
その指を顔の真上に持っていくと自然に座ります。
座った瞬間ににっこり笑顔で「いい子ね〜!」と言っておやつを与える。
また指を一本立てて注目させ、
座ったらその瞬間に「いい子ね〜!」と言っておやつを与えるを繰り返し、
犬が「そうか、ママが指を一本立てている時に座るといいことがあるんだ」
と気がつけばそれはとても楽しい学びになります。
座ることが分かってきたらその行動をしかけたタイミングで「オスワリ」とか「スワレ」のようなキューを1回だけ言うことを繰り返しやっていると
犬はそのキューが座る行為を要求していることだと学んでいきます。
次に指はなしでキュー(「オスワリ」とか「スワレ」)だけで座れば褒めておやつ。
この時も座るまで何度も言う人がいますが、
うっとおしいんでやめてください。
キューだけで座らなければまた指一本立ててヒントを出してください。
この時点でもはや指一本を見ただけで座るようになっているでしょう。
犬は言葉によるキュー(声符)よりも
手の動きのようなサイン(視符)に意味を関連づける方が得意ですから...
でもそれで満足していると、
他の人に預けた時にオスワリさせられませんので、やはり一般的な言葉を教えておいた方がいいでしょうね。
よく「うちはフランスの犬だからフランス語のコマンドで教えてるの」なんて人がいますが、万が一迷子になった時に保護してくださった方が苦労しますよ。
私もトレーナーなので「アシィ!」(座れ)「クシェ!」(伏せ)「ヴィヤン」(来い)くらいは覚えましたが...
覚え方は「足くせェいや〜ん」です😓
さて、キューだけで座れるようになったら、
今度は場所を変えてもできるように練習する必要があります。
なぜならあなたが教えたのは『家の中で』『あなたが』『向かい合わせに立って』『気が散らない状況で』『おすわりと言ったら』という条件で座ることを教えただけだからです。
『公園で』『ドッグランで』『横断歩道の前で』『コンクリート道路の上で』『土の上で』『他の犬がいるところで』など、条件が変わればそれは犬にとって別の話です。
『向かい合わせに立って』ならできても『信号待ちのとき同じ方向を向いたままで』はできないと思いますよ。
こういうのを(プルーフィング)といってこういう様々な条件の違いがあっても、安定してキューに対し吸われるようになったら初めて「オスワリ」が完成します...
そして安定してできるようになったら次のステップです。
褒めた後2回に1回おやつ、3回に1回おやつと徐々におやつを減らしていきます。
3回に1回おやつを与えるというのは
ギャンブル性を持たせ、
今度はおやつもらえるかなぁという
ワクワク感を膨らませますので
毎回おやつがもらえるより盛り上がります😉
(実はこれも間欠強化という心理学に則ったトレーニング方法なんですよ)
最終的にはしっかり褒めるだけにします。
やらないとママがしつこいから...
やらないと叱られるから...
そんな理由とはモチベーションがまるで違います!
これが応用行動分析学を用いた近代的トレーニングです...
やっていることは同じように見えても、
きちんと心理学を理解して行っているか、
それとも自己流でやっているかでは、
明らかに犬の行動に違いが出るのです。
「うちはいつもご飯の前に『オスワリ』させてるからちゃんとできます!」というかた、それってご飯前のルーチンになってるだけでいつでもどこでも『オスワリ』のキューで座れるか確認してみました?😅
よく「おやつを使ってるとおやつを見せないとやらなくなるでしょ!」と言って「私はおやつなんかで釣らない方法で教えてるの!」などと自慢げに言ってる人も単にきちんと心理学的なアプローチを理解できないからそう思い込んでいるだけじゃないですか?
さて次に、「フセ」の教え方はちょっと「オスワリ」より難しいですが、同じように教えていくことができます。
よく「フセ」を教える時に身体を抑えつけ、
無理やりフセの体勢をさせて褒めておやつを繰り返すことで教える人もいますがそれで痛い思いをした個体や、プライドの高い個体はその方法を拒否するようになってしまいます。
おやつを持った手を鼻先からゆっくり床につけて、すんなりフセの体勢になってくれる子はいいのですがなかなかペッタリ身体を床につけない子を無理やり押しつけると驚いて、これまた寄ってこなくなるケースもあります。
そんな場合はこの方法を使います。
これは教えるとプロのトレーナーさんに
営業妨害だと叱られるかもしれませんがこっそり教えましょう。
飼い主さんが床に座って片膝もしくは両膝を立ててトンネルを作ります。
おやつを持って低く作った膝のトンネルの下に
反対側からおやつを見せてワンちゃんを呼び、
膝の下に誘導しほふく前進するように潜らせます。
(ほふく前進がわからない人はググってください)
警戒して入ってくれないときはトンネルの高さを高くして入ってきた位置から徐々に低くしていってください。
膝の下に入った時「フセ」と言って「いいこね〜!」と褒めおやつを与えます。
膝の下に入ってきた時にギュッと抑え込んではいけませんよ。
自発的に入ってきてくれないと警戒して来なくなってしまいますから...
これを繰り返して、「フセ」の体勢が理解でき、
慣れてきたら段々と膝を緩めていき、
膝を放してもフセの体勢ができるようにします。
そして最終的に膝なしで「フセ」できるようにしていきます。
流れだけをサラッと書きましたが、もちろん「オスワリ」のところで説明した心理学的アプローチをきちんと交えて行ってくださいね!
また、この「フセ」にもハンドシグナル(視符)をつけておくと、静かにしていないといけない場所などで手の動きだけで伏せてもらうことができるので有効です。
一般的には手のひらを下に向けて下げる動作ですね。
もちろん「フセ」の動作ができるようになったから終わりではなく、ふせたままじっとしていることも大切です。
「タテ」や「コイ」のキューがあるまで立ち上がらないような練習や、飼い主さんが動いたり何か気になる音がしてもフセが続けられるように練習が必要になります。
さて、トレーニング的なノウハウはここでは指と膝を使って正解の動作を教えたこと。
これは心理学とは違ってトレーナーのみなさんがいろいろ試行錯誤して導き出したテクニックです。
マジシャンでいうタネでしょうね。
言われてみればしょーもないことですけど、
一般の飼い主さんが自力で思いつくのは難しいでしょう。
無料で教えてはいけないノウハウかもしれません🤔
タテ、マテ、コイ、ハウスもこれの応用ですよ。
分かりますよね...
まぁ、思いつかなければ有料で(応用行動分析学が分かっている)ドッグトレーナーさんに教えてもらってください😅
失敗しても叱ってはいけませんよ。
うまくできたら褒めてご褒美。
うまくできなければ褒めないご褒美ない。
それの繰り返しです...
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