犬に体罰がNGな理由 | タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

最新のドッグトレーニングと犬猫に関する情報
動物保護のお話など

 

そもそも犬のしつけ(またはトレーニング)に、

体罰を使うべきではないという話には

倫理的でないという理由以外に(倫理的でないだけで十分な理由になりますが)

2つの側面があります。

 

 

ひとつ目は、

その体罰が犬に対して狙い通りに働かないことが多いから。

 

犬がその行動をしたら叩かれることを学べば、

次からしなくなると思って行うのでしょうが、

そんな単純なものではありません。

 

犬は「どうしたら叩かれることを回避できるか」をまず考えます。

 

 

トイレじゃないところでウンチをして叱られたり叩かれたりしたら、

次からトイレでしようとは思わずに、

「叩かれるから飼い主の見てるところでウンチはしないことにしよう」とか、

「ウンチが見つからないように食べて隠してしまおう」と考えるようになります。

 

そして、飼い主が見えないところにやるとか、

叩かれそうになったら唸って威嚇して回避することを学びます。

 

それでも叩かれるなら逃げ惑うか咬んで回避するでしょう…

 

 

 

犬には人間の尺度での『物事の良し悪し』など分かりませんから、

自分の行動に罪悪感など感じません。

 

『叩かれない方法』を考えるだけなのです。

 

 

 

 

ふたつ目は、

飼い主側の体罰のレベルがエスカレートして行くことです。

 

体罰を使って一時的に犬の行動を制御できた飼い主の心の中には成就感が生まれ、

喜びを感じます。

 

ですから次に同じ体罰を使っても効かない場合、

声を大きくし、より強い体罰を与えることで、

再度その成就感を得ようとします。

 

一方、犬は『叱り』『体罰』に対する嫌悪感に徐々に慣れていきます

 

ですから同じ体罰を与えていても、

やりたいことに対する欲求や衝動が強ければ止めにくくなります。

 

 

初めは静かに「いけません!」「やめなさい!」と言って、

きかなければお尻を軽くペンと叩いていたのが、

頭をパシッ!になり、ゲンコツでゴン!になり、

しまいにはカミナリのような怒号と共に棒で叩いたり蹴ったりするようになります。

 

適度な暴力を冷静にふるうなんてできるものではありません。

 

 

さすがに多くのまともな感受性を持つ飼い主さんは、

途中で自分のやっていることがおかしいと気づくのですが、

これを犬の専門家と言われる人に指導されると

「自分の体罰のテクニックが間違っていたんだ」

「もっと厳しく躾けないと」とそのまま継続してしまいます…

 

「手で叩くと手を恐れるようになるから、金属の灰皿をぶつけろ!」

などと指導する古臭い訓練士もいます。

 

そんなことをしても犬だって投げているのは飼い主だと

いうことくらい分かるでしょうにね...😞

 

そして犬との間に致命的な不信感が生まれ、

手がつけられなくなるのです...

 

 

これらふたつの側面から派生する問題として、

体罰によって犬の身体に起きる弊害も見逃せません。

 

常に叱られたり叩かれたりする恐怖や苦痛は犬の脳を萎縮させます(特に子犬)。

 

首輪に繋いだリードを強く引くジャーク頸椎を損傷し

脳にダメージを与え眼球をとび出させ

舌骨を折ってしまう可能性があります。

 

 

そしてなによりも犬と人との信頼関係を著しく損なってしまうことが大きな問題なのです!

 

仔犬の期間は、はしゃぎまくって当たり前。

 

いろんな物を噛んだり口に入れて確かめたりします。

 

トイレを失敗もしますし、ウンチを食べたりもします。

 

他の犬に絡んでウザがられもしますし、やたらと興奮します。

 

 

飼い主はそれに一喜一憂せずおおらかに見守り、

穏やかに正解を伝えていくだけでいいんです。

 

そのために飼い主は皆もっと犬に関する知識をつけ、

報酬型のトレーニング正の強化トレーニング

どのように使っていけばいいかをきちんと学ぶ必要があるのです。

 

犬を知り、犬の気持ちを理解する力がついていけば、

自然と強く優しい飼い主になれます。

 

そしてその強さとは決して犬の心や体に

ダメージ与えるものであってはならないのです...