外で「オスワリ」ができない理由 | タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

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人も犬もなにか行動をしていいことがあればその行動を頻繁に行うようになります。

 

一方、なにか行動をして嫌なことがあれば、その行動をしなくなったり、

別の行動を試そうとします。

 

このように、経験を通して犬の行動は変化していきます。

 

 

そのような学習の中で、家で「オスワリ」「オテ」を教え、

できたら褒めたりおやつを与えたりすることで、

犬は飼い主さんの言葉やジェスチャーに意味があることを知り、

こう言われたらこうするといいことがあると学んでいくわけです。

 

でも、おうちでは「オスワリ」も「オテ」も完璧にできるようになったので、

公園で披露しようとすると、上手くできずポカーンとしていることがありませんか?

 

または、飼い主さんが指示するとできるのに、

他の人が指示しても全く動こうとしなかったり...

 

 

実は犬が学んだのは、「オスワリ」や「オテ」のキューでその行動をすることではなく、

おうちで飼い主さんが「オスワリ」や「オテ」と言った時にその行動をすることを、

学んだのです。

 

分かりにくいですか?

 

犬は細かな状況も含めてその行動を行う前提条件だと覚えていて、

その状況が少しでも変わるとそれはまったく別のことだと判断してしまうんです。

 

ですから公園ではもう一度、『公園で』というファクターを付け加えて、

覚えさせる必要があるわけです。

 

それには周りに『集中を欠かせる刺激がいくつもある中で』という条件も加わります。

 

ご飯の前にしかそのコマンドを練習していなければ、

それはご飯の前でしかスムーズにはできない理由がわかりましたか?

 

様々な時間と場所で、そして様々な人に指示されて行えるようになって、

初めてそのキュー(たとえば「オスワリ」)がいつでもどこでも誰に言われても、

座ることだと学習するわけです。

 

 

「え〜、なんで犬ってそのくらいわからないの?」って思うでしょうね?

 

実は人間が物事の似ているところを認識して、

「同じ行動をすればいい」と解釈することが得意なのに対して、

犬は少しでも違いがあると同じ物事とは認識しにくいのです...

 

逆に言えば、

人間が似たような状況や見た目で同じことだと誤解してしまいやすいことを、

犬は細かな違いをしっかり見抜いて注意するので、

似たような道を間違えたり、似たような状況で勘違いすることが少ないと言えるでしょう。

 

外では指示に従わなくても、よその人の指示に従わなくても、

お宅のわんちゃんが気難しいからでも機嫌が悪いわけでもないので、

叱ったり「うちの犬は頭が悪い」などと失望しないでください…

 

犬が賢くないのではなく、人間と物事の受け止め方が違うだけなんですね...

 

このように人間と犬の違いを意識して犬に様々なことを教えないと、

大きな誤解をしてしまったり、うまく教えることができなかったりする原因になってしまいます。

 

 

最初は「おすわり」ひとつにしても、

同じ人が同じ声の大きさで同じ口調で同じ動作で同じ場所で教えて、

理解しやすいよう進めていき習得させます。

 

(指一本立てる動作にしても犬の顔との距離や角度などでも犬にとっては大違いです)

 

そして認識したら小さい声でも大きい声でも床の上でもソファーの上でも、

アスファルトの上でも、土の上でも、誰が言っても、

同じように座るよう細かく丁寧に教えます

 

このような手続きを『プルーフィング』といって、

コマンドだけでなくトイレトレーニングも歯磨きやブラッシングのときも、

様々な順序や場所やる人の違いなどに違和感を感じないよう、

徐々に様々なパターンを教える必要があるのです。

 

但し気をつけないといけないのは、

プルーフィングで失敗して最初に習得した行動が崩れてしまうことです。

 

混乱してしまうようでしたら常に初期の状態に戻り、

習得を確認しながら無理なく理解できるよう丁寧に進めてくださいね。