なぜ日本ではもはや古いと言われている体罰ベースのドッグトレーニングがなくならず、
チョークチェーンによるジャーク(リードショック)を用いたリーダー ウォークを教えているかという理由の一つに、現状の大半のペットビジネス系専門学校では未だ支配性理論(パックリーダー論)に基づいた強制服従訓練法を教えているからという残念な事実があります。
どれほど世界中の心理学者や動物行動学者が
「間違っている!」「古臭い手法だ!」と伝え、
日米の行動分析学会がそのトレーニングの危険性について警鐘を鳴らしても、
日本の教育機関は新しいカリキュラムに移行できないのです。
今じゃ愛玩動物飼養管理士の講習会でも、
「パックリ-ダ-論はかなり昔に否定されておりもはや都市伝説的なものです。
マズルを掴んで叱ったり体を引っくり返して降参するまで押さえ付けるなど、
犬を怯えさせたり怖がらせたりするようなしつけはNGです」
と指導しているんですけどね...😓
それでも古い体罰トレーニングが続いている理由はなんだと思いますか?
結局政治とおなじで昭和のじぃさんたちがこの業界を牛耳っているからなんです。
つまりJKC(ジャパン・ケネル・クラブ)等の強い力を持つ団体に対する忖度と、警察犬訓練所などの職場斡旋に関する利害関係があります。
ジャパンケネルクラブは『支配性理論』が間違っていたことを未だに認めませんし、
権勢症候群(アルファシンドローム)なんて存在しなかったということも認めません。
(理事さんに直接聞いて確認しました)
いまだJKC公認訓練士は基本的にジャークを含む強制服従訓練をベースとしています。
そしてJKCの傘下にある経営が安定した犬関係の訓練の職場は全て古いしつけ論をベースに行われており、その多くは知識を更新しようとしない老人たちに牛耳られていますから...
そういった職場の方針に逆らって新しい知識を主張するような人材は求められていないのです。
学校側としても、新しいカリキュラムに切り替えようとすれば
講師陣やテキストの準備に莫大な費用がかかることになります。
(犬の動物行動学と応用行動分析学だけでもきちんと教えようと思えば大学で教えるレベルのカリキュラムになるはずですから...)
そのため、新しくドッグトレーニング業界に入ってくる若者たちは、
犬が大好きでありながらキラキラした眼差しで犬に体罰を与えるようになるのです…
言葉では「近年ドッグトレーニングに体罰は使わない方がいいと言われています」と言ってはいるのですが、やっていることは言葉を巧みに変えた体罰です。
指示通り動かない犬には徐々に強いリードショックが与えられます。
(叩く・蹴るも必要に応じてやりますし、その方法も実習で訓練士から指導を受けます)
「若くて人当たりのいいトレーナーさんだから信じて任せるわ」と思ってしまいがちですが、
教わってきたことに疑問を持たず体罰を与えている限り、
皆さんの愛犬にとっては笑顔の悪魔になる可能性も高いと言えます。
もちろんそんな体罰訓練を疑問に感じる学生さんたちもいます。
警察犬訓練所から実習の講師としてきている先生は、学生たちが大切に世話している犬たちを叩いたり蹴ったりします。
そして学生たちにも体罰を与えるよう要求するのですが、中には納得できずやらない子たちもいます。
私が親しくしていた学生さんは犬を蹴らなかったと言う理由で実習の成績を落とされたたそうです。
なんとも理不尽な教育現場ですよね😮💨
そして残念なことに現在のところ応用行動分析学を教え、クリッカートレーニングの実技を教えている専門学校はほとんどなく、多くの学生は卒業後再度学び直しているのが実情です。
卒業して、新しい職場で「貴方が教わったことは全部忘れて1から心理学を学びましょう」と言われてもこれまた納得がいかないでしょうね...
この裾野が変わらない限り、ハズバンダリートレーニングができる動物園飼育員や、
学習理論ベースの家庭犬の行動修正ができる優秀なドッグトレーナー・アドバイザーはなかなか増えず、
怪しげな体罰訓練士が暗躍する業界が是正されないのかもしれません…