手作り食はむしろ身体によくない? | タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

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日本で犬の手作り食を基礎から学ぼうと模索して辿り着くのが、

 獣医師の、須崎恭彦先生と本村伸子先生ではないでしょうか? 

 

どちらの先生も非常に深い知識をお持ちですが、

本村先生は(7年前と変わってなければ)『生食』と言われる生肉を

使った食事を奨めておられ、穀物は基本奨めてません

 

 

 

 

 

 

 

 

須崎先生は水分豊富で全て加熱した肉と野菜に炊いたお米が使われる

メニューが多いようです。

 

   

 

 

 

 ご両名の考え方で根本的に異なるのが『酵素』に関する部分で、

本村先生が酵素を重視なさるのに対し、須崎先生は酵素を与えても

犬の強力な胃酸によって不活性になるので無駄だと考えておられるようです。

 

実は私も一時手作り食にハマってめちゃめちゃ勉強しました。

 

私はタンタンが生肉を嫌がって食べないのと、生肉についている菌が心配で

(犬の強力な胃酸で大抵の菌は死んでしまうのですが)生肉は与えず、

かといって酵素が全て無効だとも思っておらず、

食後胃酸が薄まったタイミングで酵素や乳酸菌を与えれば、

ある程度は生きたまま腸まで届くと考えていました。

 

(ただ、現在は乳酸菌などを食物から得ても、腸内に活着することはなく、

 すぐに排泄されてしまうか既存の腸内細菌の餌になるだけ、

 という説も聞かれるようになりました)

 

一方で栄養学を学んだおかげで、

プラッキングせずにワイヤーフォックステリアの被毛の退色を防ぐために、

必要な栄養の組み合わせも見つけることができました。

 

ただ、タンタンに環境性のアレルギーが出てきて夏場だけとても痒がるので、

アポキルという新薬を飲ませ始めたのですが便が柔らかくなってしまい悩んでいたところ、

偶然与えてみたティンバーウルフ(現在は生産が中止になりました)のドライフードだと

アポキルを飲ませていても良い便が出ることが分かったので手作り食は中止し、

それ以降は総合栄養食のプレミアムフードを与えることにしています。

 

 

 

 

ひとつ言えるのは、

犬の食性や消化・吸収能力、栄養学などをきちんと学ばず

自己流で手作り食を始めるのはとても危険だということです。 

 

与えているつもりでも狙った栄養が与えられていなかったり、

犬が消化・吸収できないものを与え続けていたり、

知らずに(犬にとって)毒性のあるものを継続的に与えてしまう危険性があるからです。

 

犬に生野菜を与えても、犬は植物の細胞壁を溶かす酵素をもっていないので、

細かく砕いて与えるか、加熱して細胞壁をもろくしなければ吸収できません。

 

人間に比べて何倍ものカルシウムが必要ですので、

同じように考えているとカルシウム不足になってしまいます。

 

また、口腔耐性もできていないのにいきなり手作り食に切り替えたり

慣れていない食材を与えることにより、アレルギーを引き起こす危険性もあります。

 (同じ食材を継続的に使うことも同様に危険性はあります) 

 

基礎は理解しても栄養素の組み合わせで吸収効率を高めたり、

お湯で茹でることで流出してしまう栄養素の損失も考慮して料理法を考えなければ

狙い通りの栄養を与えることはできません。 

 

そしてどれほど犬の栄養学を学んでいても、

最終的に愛犬の体質に合っていなければ身体にいいとは言えません。

 

必ずフンの状態も確認しながら進めなければただの自己満足でしかありません。

 

 

近頃はろくに犬の栄養学も学んでいない人が手作り食の本を出版したり、

まともな監修もなしにレシピを紹介するサイトが存在しますが、

その通りに作っても栄養バランスに問題があるケースは多々ありますし

アレルギーについてはまるで考えていない食材の連続使用もみられます。

 

正直、これなら問題ないと言えるレシピ集などほとんど見たことがありません。

 

更に言えばシニアや病気にかかっている犬のための療法食については

まるで考慮されていません。

 

そういう意味では、犬に必要な栄養素をバランスよく組み合わせてある、

プレミアム ドッグフードを2〜3ヶ月ごとにローテーションしながら与える方が、

まったく安心なのです。

 

もし、それでもさまざまなアレルギーがあって、

使えるフードが手に入らず手作り食しかないというような理由があるのであれば、

まずは、両先生の(最新の)著書を最低でも一冊づつ読んで、

基礎をきちんと学んでから始めてはいかがでしょうか?

 

そして、手作り食を与えている間は特に体重をまめに測って、記録してください。