5分で吠えはなくならない | タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

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ネットのドッグトレーニングの広告を見ると、

「吠えが5分でなくなった!」「1日で散歩中引っ張らなくなる!」

などというキャッチ コピーでしつけDVDを販売しています...

 

テレビなどでも坂上忍がチャイムが鳴ると吠える犬に対して、

シンバルを使って脅かすとあっという間に静かになるなどというシーンが映ります。

 

そういうのを見てドッグトレーニングをライフハックのように考え、

「こういうときはこうしたら(問題行動が)なおる!」的なテクニックを、

手っ取り早く知りたがる飼い主さんが増えてしまうのは困ったものです。

 


実はドッグトレーニングとはその行動をおこす確率を上げるとか下げる

という世界でしかないんですよね…

 

 

これをすれば以降ピッタリしなくなるとか、

数回これをやれば次から必ずその行動をとるというものではなく、

そういう触れ込みでテクニックを教えようとするトレーナーはもはや古いのです。

 

その時は効果があったように見えても徐々に効かなくなったり、

最終的には別の問題を引き出してしまうこともあるわけですから...

 

 

例えば、ギャン鳴きしている犬にガチャ缶(小銭を入れた缶)を投げて静かになったのを見て、「これは素晴らしい方法だ!」と感心した飼い主さんは以後も犬が吠えるたびにガチャ缶で脅かすようになるでしょう。

 

 

確かに少しやっていると飼い主さんがガチャ缶を持っただけで犬は鳴かなくなるでしょう。

 

しかし、犬もなにかしらストレスを感じたり要求を伝えたくて鳴いているわけですから、

それを頭から抑え込む方法では飼い主に対し不信感を感じ、

飼い主がいない時に吠え続けるようになったり、

家具をかじるなどといった別のストレス発散行動が強化

(その行動を行う確率が高まること)する可能性も多々あります。

 

 

 

なによりもそのガチャ缶の音に慣れてしまえば、

投げても投げても効果がなくなり、

飼い主さんの『いやがらせ』がエスカレートしていくことになり、

最終的に『怒鳴る』『叩く』『蹴る』などの体罰になって、

犬との間の信頼関係は一気に崩れるわけです。

 

 

「じゃあどうすればいいのよ!」「どうにかしてよ!」って思うかもしれません。

 

そこで落ち着いて最初の方で言った「ドッグトレーニングとはその行動をおこす確率を上げるとか下げるという世界」という言葉を思い出して欲しいのです...

 

困った行動を完全になくすことを考えずに、

犬がそんな行動をとらなくても済むようにするにはどうすればいいか

考えてみてください。

 

そのためにはまず、なぜ吠えるのか? なぜ咬むのか? なぜ引っ張るのか? なぜ呼んでも来ないのか? 原因を知ることから始め、

その原因をなくすことができるのであれば自分自身の行動やその環境を変えます。

 

 

例えば、『留守中に延々吠えることがあってご近所に迷惑をかけて困っている』などという場合、

サッシの隙間に防音テープをつけたり外が見えないように窓ガラスの下半分にモザイクのフィルムを貼っただけで、

外から聞こえたり見えたりする他の犬の声や姿が見えなくなり、

吠えなくなる(または吠える回数が減る)こともよくあります。

 

その行動がルーチンになってしまっているのであれば、

そのルーチンの流れを切ることでその行動がなくなるケースもあります。

 

お散歩中リードを引っ張るというケースも、

ずっと引っ張っているわけではなくどこか特定の場所に来ると引っ張るのであれば、

その原因が『大好きなお友達わんこに会える』からかもしれませんし、

『その場所で怖いことがあったので早く逃げたい』という理由があるのかもしれません。

 

その場合はその場所をお散歩コースから外すだけで引っ張らなくなるようになるでしょう。

 

 

そして犬に対して行動変容を促す必要があるのであれば、

犬が「これをやらなかったらいいことがあった」と感じる

トレーニングに如何にもっていくかをよく考えて行うことです。

 

そのためには『古典的条件づけ』や『系統的脱感作』なども学んで、

根気強く地道に続けることが必要です。

 

 

即効性を求めずに犬との信頼関係を壊さないことを大前提に、

少しづつ弱化または順化していくことが、

犬の問題行動(人間にとっての)との付き合い方なのです。

 

ですから、私も飼い主さんに「絶対に叱るな!」とは言いません。

人間ですからつい大声で叱ってしまうこともあるでしょう.

 

叱ることを減らす努力をしてください...