犬の擬人化 | タンタンとパパの子犬の社会化ブログ

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ブリティッシュ・コロンビア大学教授で心理学者のねちっこい語り口でおなじみ、

スタンレー・コレン氏によれば『犬が自分を人間だと思い込んでいる』というのは間違いで、

『犬は人を妙な姿をした犬だと思っている』(擬犬化)ということですが...

 

近年特に言われるようになった『人が犬を擬人化する』って本当にいけないのでしょうか?

 

ここで話す『擬人化』とは、犬に服を着せるとか靴を履かせるなどという表面的ことではなく、

精神的な『擬人化』に限らせていただこうと思います。

 

確かにお留守番中にイタズラした犬を叱ろうとすると、

上目遣いで申し訳なさそうな仕草をするのを見て、

「悪いことをしたと反省してるんだわ」と考えるのは間違った擬人化で、

実際は叱られることを怖がっていたり混乱したりしているだけだったりします。

 


犬は『悪いこと』という概念を持っていないので、

いたずらをしたこと自体に罪悪感を感じているわけではありません。

 

もちろん自分がやったことでママが怒っているということは分かってますよ。

 

「これをやったらママに叱られる」<「これやったら楽しい」だったのか、

「今はママがいないから(阻止されないので)やりたい放題」だったのか、

わかりませんがそんなところでしょう。

 

善悪ではなく全ては『条件づけ』でやったりやらなかったりするわけです。

 

「うちの子、悪いことしてるのを見つかるとクロワッサンみたいに丸くなって反省するの」

などというのもクロワッサンみたいに丸くなったら怒っていた飼い主さんが、

笑って許してくれたなどの経験からその行動が強化されたというケースが多いと思われます。

 

犬は『善悪』という概念が理解できていると思い込んでいるから、

「悪いことをしたら叱らないといけない」「悪いことをしたら罰を与えてもいい」

という間違った対応をしてしまうんですね。

 

間違った擬人化による弊害です…

 

 

 

しかし、擬人化がいけないのは人と犬の相違点を正しく理解せずに同等の対応をしてしまうことであって、共通点を正しく理解していれば人と同様に対応してよい部分のほうがはるかに多いです。


むしろ、『犬は人と違って感情がない』とか『犬は記憶力が悪いからどうせ覚えてない』

などという誤解から精神的な虐待をしてしまうことの方がはるかに危険だと言えるでしょう。

 

また『弁別』能力は人間よりはるかに優れていますから、

『家族の中でママがいるときはソファーに乗っちゃいけないけど、パパしかいないときはいい』とか、

『ママがいるときはキッチンに入っちゃいけないけど、パパはキッチンに入っても怒らない』など細かなルールが理解して覚えていられます。

 

人間は汎化は得意ですが弁別は苦手ですから、微妙な違いを区別するのが難しく、職場でも先輩によってルールが違ったりすると非常にストレスを感じますよね。

 

スタンレー・コレン氏もおっしゃっています。


「擬人化や擬犬化がなくては、犬がみごとに家畜化され人間の家で暮らし、人間のコンパニオンや仕事仲間になることはなかったと思われる...」

 

犬についてもっと勉強しましょう。
そして理解した上で正しく擬人化しましょう!