近鉄 12200系「スナックカー」汎用型特急車 | 鉄道車内空間のブログ

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今まで撮ってきた鉄道車内画像を、個人的な感想を入れながらマニアックに紹介します。

1970年に難波線の開業、鳥羽線の全通、志摩線の改軌に伴い、大阪難波、名古屋から賢島まで直通特急が運転されることとなり、1967年に登場した12000系をベースに大量増備を名目として1969年に登場しました。スタイルは12000系と同様としながら、スナックコーナーの拡大、トイレ設備の見直し、側行先表示器の取付け、Mc車のパンタグラフを2基搭載する等、マイナーチェンジが図られています。12221編成からはスナックコーナーを省略した客室となり、座席定員が増加しています。1971年からは中間車も増備され2両、4両、6両の編成が誕生し、1976年まで増備が続き168両が製造されました。

主制御器は12000系で採用された三菱電機製のABFM-254-15MDHA電動カム軸式抵抗制御器、主電動機は三菱電機製のMB-3127-A形、ブレーキ装置はHSC-D電磁直通ブレーキを踏襲するが、将来の120km/h運転に対応して制御圧切替装置が追加されています。また、付随車にはディスクブレーキが採用され、以降の近鉄特急の標準スタイルを確立しています。

1974年にスナックコーナーの営業が終了し、1977年からは客室化が施工されましたが、3編成のみに留まり、以降の編成は車販準備室に転用されています。

1985年からはA更新工事が行われ、12400系に合わせた座席モケットへの交換や、ルクライニングのフリーストップ化等が行われています。1990年からは客室保温と静寂性を高めるため、ク12300形、モ12200形に客室仕切りを設ける工事が開始され、ク12300形については大型荷物置き場も併設され、座席定員が4名減の56名に変更されました。

1991年からは21000系「アーバンライナー」に準じた客室デザインに変更され、間接照明の採用や荷棚取替、号車表示器の取替え等が行われています。1998年からは車両の耐用年数を40年とするB更新工事が開始され、側扉上部の雨樋取付け、クーラーキセの交換、機器類の更新や内装材の新品交換が行われています。2006年以降にB更新を受けた車両は座席交換や車販準備室の撤去や喫煙車への空気清浄機取付け等が行われています。

2000年からは初期車から廃車が始まり、2005年には一部編成の団体編成へ転用されています。80000系「ひのとり」導入に伴い、21000系や汎用特急車の玉突き転用に伴い、2021年2月12日をもって定期運用から引退し、12256編成は19200系「あおによし」の種車へ、一部は原色・現番号のまま団体専用車「あおぞら」に転用されましたが、2022年2月をもって12200系は全車廃車となりました。

下枠交差型パンタグラフに交換された12200系です。

五十鈴川駅に進入する12200系です。

2021年7月に運転された12200系臨時特急運用です。

車掌台側に副標識が掲げられました。

モ12200形制御電動車です。主制御装置を搭載しています。

下枠交差型パンタグラフPT48を搭載するモ12200形です。

サ12120形付随車です。トイレ設備とMGとCPを搭載します。

モ12020形中間電動車です。モ12200形と同様に主制御装置を搭載します。

下枠交差型パンタグラフPT48を搭載するモ12050形です。

制御車のク12300形です。

それでは客室のご案内です。まずはA更新を受けた12200系の客室です。12400系「サニーカー」の登場時に合わせたカラーとなっています。

12200系先頭車の乗務員室寄り仕切り部です。オレンジ色の着色ガラスとカーテン生地にレトロ感を感じます。

12200系A更新車の連結面寄りです。隣接するのはトイレのため、黒色着色ガラスとなっています。

A更新車の客室天井です。近鉄伝統の三角形の蛍光灯カバーが並びます。中央天井はブラウン色の化粧板となっています。

荷棚は網棚です。

カーテンは明るいトーンの色となっています。

座席はスライド式の回転リクライニングシートです。テーブルは肘掛先端部を引っ張り出すとテーブルがセット出来る構造です。21000系アーバンライナー登場時までこの形状の座席が使用されました。

座席背面は網袋のみです。

シートピッチは980㎜で展開されています。登場時はJRのR51形簡易リクライニングシートと同構造で、リクライニングを起こすか、倒すかでしたが、A更新時にフリーストップ式に改良されています。

最前列の座席です。テーブルは設けられていません。

A更新工事後に座席モケット、カーテンのみ交換された車両もありました。

ここからは1991年から21000系「アーバンライナー」に準じたインテリアを採用した車両をご紹介します。

客室仕切り部です。アーバンライナーと同じ光電センサによる自動引戸とLED式の号車表示器が設けられました。

モ12020形の車端部です。モ12200形と同構成で配電盤があるため、大型の点検扉が備わります。号車表示器にはトイレ使用灯は省略されています。

喫煙車に指定されていたク12300形の客室です。

乗務員室寄りの客室仕切り部です。

新製時は客室仕切りが無く、座席の前が乗降扉となっていましたが、A更新時に座席1列を無くして大型荷物置き場と客室仕切りを設けています。

通路を挟んで両サイドに大型荷物置き場がありました。アーバンライナーに準じた改修工事の際にダウンライトも設けられました。

喫煙車のク12300形の客室です。荷棚荷空気清浄機が設けられています。

モケットが交換されたスライド式の回転リクライニングシートです。

喫煙車の回転リクライニングシートです。テーブル先端に灰皿が設けられています。

肘掛収納テーブルです。

座席背面は網袋のみです。

脚台にはシーズ線ヒーターが組み込まれており、蹴込板が斜めになっており、シートピッチ以上の広さを感じることができます。

シートピッチは980㎜で展開しています。

最前列の座席です。妻面に付帯設備はありません。

12200系の一部の車両は座席背ズリが薄い車両もありました。

背ズリが薄い車両の最前列部です。

2006年以降にB更新工事を受けた客室です。

喫煙車の12300形の客室です。荷棚には空気清浄機が備わります。

2006年以降にB更新工事を受けた車両は、22000系をベースにしたYR243形回転リクライニングシートに交換されています。

喫煙車に装備された灰皿付きのYR243形座席です。

22000系と同じインアームテーブルが装備されています。

座席の灰皿は肘掛先端部に装備されました。

座席背面は網袋のみとなっています。

脚台はシーズ線ヒーターを組み込んでおり、従来座席と同様に蹴込板が斜めになっています。回転機構は足踏みペダル式となりました。

リクライニング機構も背ズリが倒れる構造になりました。シートピッチは従来車と同じ980㎜となっています。

最前列の座席です。

天井はアーバンライナーで採用した間接照明となりました。

荷棚もアルミ製のスリット形状となり、蛍光灯も装備しています。

喫煙車に装備された空気清浄器です。

デッキも客室同様にグレー基調でまとめられており、蛍光灯はダウンライトに変更されました。

側扉は折戸のため、開閉時の可動範囲は床敷物の色が異なります。

サ12120形とク12300形にトイレ設備があります。

和式トイレです。

登場時から洋式トイレを備えていました。2006年以降に改造された一部の車両は真空式の洋式トイレと小便所に改造されています。

通路を挟んで両側に個室トイレを設けたため、洗面所はデッキに面しています。

モ12020形には車販準備室が設けられました。

シャッターの向かいは棚が設けてありました。

一部の車両は完全に車販準備室が撤去されています。

棚も撤去され、避難用はしご置き場になっています。

2車間の渡り板は3枚構成です。

モ12020形とサ12120形の連結面は密着連結器を装備しており、床面と渡り板に段差がありました。編成分割が可能なため、渡り板も2枚構成になっています。

一部の車両は3枚構成の渡り板になっていました。段差部分には注意喚起のシールが貼られています。

12200系の運転台です。

12200系は様々な汎用特急車と連結をするため、連結時は通路として通行が可能になります。

運転席は前面貫通扉で仕切られます。

車掌台側はロープのみで仕切られます。

A更新工事の際に、貫通扉に装備されていた特急マークと標識灯上部の行先表示を撤去し、現行の前面に改修されています。

種別と行先が一体となりました。

末期には一部の車両で行先表示が改修されています。

赤幕車の行先表示窓は従来より狭められています。

吉野線連絡の橿原神宮前ゆきは副標識を掲げての運用でした。

製造時からの側行先表示です。

前面が赤幕に交換された車両の側行先表示幕です。

12200系同士の連結状態です。

汎用特急車であるため、最新型の22600系も連結が可能です。

電動車が装備するKD-71形台車です。製造年次により改良されKD-71B、KD-71D形を履いています。

付随車が装備するKD-71A形台車です。製造年次により改良型のKD-71C、KD-71Eを履いています。

名張駅に到着する12200系です。

堂々たる8両編成の12200系です。