1992年に標準軌用の10400系や11400系「エースカー」の老朽取替用として登場しました。車両の愛称も「ACE」と名付けられ、開発コンセプトは「外観および居住性がいまの水準から一歩進んだ車両であること」「既存の特急車両と連結して運転が可能な車両であること」「最高130km/hでの運転が可能であること」「時代の要請に応じた、省エネルギー、省メンテナンスの車両であること」「乗務員にとって扱い易い車両であること」の5点が盛り込まれ、21000系のデザイナーが監修した車両となっています。
車体は鋼製で天井高さを確保するために21000系より高いレール上面より3760㎜を確保し、前面は丸みを持たせたスイング式ホロカバーを装備した貫通型で、従来車両との連結が可能です。側扉も近鉄特急で継承されてきた折戸からプラグ式に変更され、連続風固定窓と相まってシンプルな外観となっています。客室は21000系で確立されたグレートーンの落ち着いた色調で、近鉄特急車として初めてのバリアフリー対応設備が設けられています。
制御装置は特急車としては初めてVVVFインバータ制御を採用、1C8M方式の全電動車構成となり、最高速度は130㎞/h運転を可能としています。台車はメンテナンスフリー、軽量化を目的として設計されたボルスタレス型のKD-304型を装備、踏面とディスクブレーキ併用で、130㎞/hからの制動力を確保しています。
2015年から2020年にかけて、86両全車を対象としたリニューアル工事が施工され、客室のリニューアル、喫煙室の設置、前照灯、行先表示器のLED化等が行われ、同時に車体塗装の変更も行われています。
標準軌線の汎用特急車の役割は変わらず、各線区で活躍しています。
旧塗装時代の22000系です。
4両編成のモ22100形制御電動車です。VVVFインバータ装置が装備され、パンタグラフは1基搭載となっています。
2両編成のモ22100形はパンタグラフは2基搭載しています。
中間電動車のモ22200形には補助電源装置DC-DCコンバータとCPを搭載しています。客室はバリアフリー対応設備が設けられています。
中間電動車のモ22300形です。VVVFインバータ装置とパンタグラフ1基を搭載します。
制御電動車のモ22400形です。搭載機器はモ22200形と同等となっています。リニューアルの際に喫煙室が設けられました。
それでは客室のご案内です。
伊勢向き先頭車のモ22400形の客室です。新製時はグレートーンの色調でしたが、淡いグレーの色調となり、照明のLED化も相まって非常に明るい客室になりました。喫煙室が設置された関係で定員が56名から40名に減少しています。
乗務員室寄りの客室仕切り部です。リニューアル工事を受け、妻化粧板はベージュ系で明るい色調に変更され、情報案内装置は大型のフルカラーLED式に交換されています。客室仕切りの向こうには喫煙室が新設されています。
モ22300形の客室です。後継の22600系「Ace」と座席定員を合わせるため60名から56名に減少しています。
モ22300形の伊勢寄り車端部には、1列分の座席を撤去して大型荷物置き場が設置されました。
モ22300形の大阪・名古屋寄りの客室仕切り部です。仕切りの向こう側にはデッキを挟んで車販準備室と自動販売機が設置されています。
モ22200形の客室です。バリアフリー設備を有する車両で、トイレの大型化に伴い、座席定員は58名から54名に変更されました。
モ22200形の大阪・名古屋寄りの車端部です。バリアフリー対応座席が設置されている関係で両開きの仕切り扉となっています。
登場時はバリアフリー対応座席と一般席の間に仕切カウンターが設置されていましたが、リニューアルの際に撤去されています。
モ22100形の客室です。この車両も後継の22600系「Ace」と定員を合わせるため60名から56名に減少しています。
モ22100形の伊勢寄り車端部には大型荷物置き場が設置されました。
座席は22600系で採用されたゆりかご機能付きの回転リクライニングシートに交換されました。
大型のグリップが取り付けられ、点字標記で座席番号が解かるようになっています。
リネンは不織布製が取り付けられています。リニューアル当初は「KINTETSU22000」となっていましたが、22600系も同モケットに変更されたため、「KINTETSU」のみの共用デザインに変更されました。
座席背面テーブルの下部には網袋、コンセント、ドリンクホルダーが設けられており、現在の汎用特急車の中では一番ユーティリティーの高い座席となっています。
脚台は吊り下げヒーターの採用により、足元に空間が生まれています。
跳ね上げ式のフットレストも備わります。土足面オンリーとなっており、22600系からは少しレベルダウンしています。
妻面には大型テーブルと跳ね上げ式のフットレストが備わります。
妻面の大型テーブル取付け部にはコンセントも設置されています。
バリアフリー対応座席は1人掛けとなっています。跳ね上げ式の肘掛、小型のサイドテーブル、脚台には車椅子固定装置が備わります。
バリアフリー対応座席の窓下には非常呼び出しブザーが設けられています。
バリアフリー対応座席の背面です。跳ね上げ式フットレストは省略されています。
大阪・名古屋方面を向いたバリアフリー対応座席です。妻面には大型テーブルが備わります。
伊勢方面を向いたバリアフリー対応座席です。この箇所は前席までの間隔が非常に広くなっており、フットレストまで足が届きません。
客室天井には大きな変化はありませんが、照明がLEDに交換されたため、非常に明るくなりました。荷棚上のスリットは明るい青色に変更され、客室カラーのアクセントとなっています。
荷棚も従来品が再用されており、化粧シートの張り替えが行われました。荷棚の照明もLEDに交換されています。
荷棚には座席予約表示灯が設けられました。緑色が予約済み、青色は空席となっています。
側窓カーテンは青色のプリーツカーテンに交換されています。
仕切り戸上部にはフルカラーLEDの情報案内装置が設置されています。
モ22300形の大型荷物置き場です。
モ22300形の大型荷物置き場右側は機器箱が設置されています。
地下線内や屋根が覆われている駅(大阪上本町、京都)ではパーティーションロープが張られ使用禁止となります。2024年3月からは喫煙室の使用が廃止され、全車禁煙化が図られました。
喫煙室横の通路部分です。
デッキ周辺です。側扉は気密性向上のためプラグドアとなっています。化粧板と照明のLED化により明るいデッキとなりました。
モ22400形のトイレ・洗面所です。共用トイレ、女性用トイレ、男性用トイレ、洗面所の組み合わせです。
共用トイレの内部です。木目調の化粧板、ウォシュレット付便座、真空式へ変更されています。
バリアフリー対応設備が設けられています。客室入口まで機器スペースが新設されています。
トイレ内には着替え用のチェンジングボードも設置されています。大型トイレの向かいには男性用トイレと洗面所が設けてあります。
洗面所です。
モ22300形の大阪・名古屋寄り車端部には車販準備室、自動販売機が設けられています。
リニューアルの際に前照灯、行先表示器がLEDに変更されました。
近鉄四日市駅に入線する22000系です。
後ろに3000系ビスタカーを従える22000系です。