1989年に鴨東線開業の伴う運用増加と、初代3000系特急車の7両化を目的に7両×1編成と中間車5両が製造されました。8000系が運用開始すると人気が高まり、鴨東線開業に伴う特急利用者が予想を超える増加となり、のちに特急運用を8000系に統一するため、1994年までに7両×10編成の陣容で増備されました。
車体はアルミ合金製で、前面は非常時貫通扉を備えながら、前面展望を考慮した大型窓となり、京阪特急のシンボルである鳩マークを電照幕式として装備しています。側面も複層ガラスの大型窓となり、全席転換クロスシートの落ち着いた客室と、京阪特急伝統の「テレビカー」を4号車に連結し、個室型電話室を備える等、料金不要の列車として最高レベルの仕上がりとしています。
制御装置は定速機能付きの界磁位相制御方式、ブレーキ方式は6000系等で実績のある回生ブレーキ優先電気指令式ブレーキを採用しています。
1995年に改造により登場した初代3000系のダブルデッカーは乗客から好評であったため、1997年から1998年にかけて8800形ダブルデッカー車を新製し、5号車に組み込み、全編成が8両編成となっています。
2006年には「テレビカー」の地上デジタル放送の受信により、ブラウン管テレビから液晶32型テレビに交換され他、携帯電話の普及により2009年にはカード式公衆電話の廃止が行われました。
2010年より8000系のリニューアル工事が実施され、同時に「テレビカー」の廃止が発表され、2012年の8003編成の改造入場で「テレビカー」は全廃となりました。2016年からは6号車に連結されている8550形を座席指定の「プレミアムカー」に改造する工事が実施され、全編成が改造されました。
2018年からは機器更新工事が開始され、車体補修の他、MGのSIV載せ換え、種別・行先表示機のLED化等が行われています。
先頭部の側面にはELEGANT SLOON 8000 SERIESのロゴが入ります。
2023年11月より「大阪・関西万博」のラッピング車も登場しています。
旧塗装時代の8000系です。
京都向き制御電動車の8000形です。主制御器、パンタグラフを搭載しています。
2号車に連結される8100形中間電動車です。MG又はSIV、CPを搭載します。
3号車に連結される付随車の8500形です。登場時の大阪寄りは編成分割位置でしたが、8800形ダブルデッカーを連結した際に、固定化されています。
4号車に連結されるダブルデッカーの8800形です。大阪寄りは編成分割位置となっています。
5号車に連結される付随車の8750形です。登場時は「テレビカー」でしたが、リニューアルの際にテレビ及び個室型の電話室が撤去されています。京都寄りは編成分割位置となっていますので、構内入換用標識灯が設けられています。
7号車に連結される中間電動車の8150形です。主制御器、パンタグラフを搭載します。
大阪向き先頭車の制御電動車8050形です。MG又はSIV、CPを搭載しています。
それでは平屋客室からご案内いたします。1号車に連結される8000形の客室です。京阪特急は広告吊りが無く、スマートな客室に仕上がっています。
座席はバケットタイプの転換クロスシートで、自動転換機構を備えます。
ロゴ入りの専用リネンが装着されています。座席取手はリニューアル時に赤色に着色されました。
脚台は吊り下げヒーターの採用により、足元に空間があります。
扉部分には補助席を装備した仕切りパネルがあります。この区画は通常の転換席と比べると狭く、膝の当たる位置はモケット張りとなっています。
扉側には補助席が装備されています。乗務員室からの指令でロックが解除されます。
8000形の乗務員室仕切り部です。仕切り窓が大型化され、前面展望は良好です。
乗務員室仕切り部は2列の転換クロスシートが配置されています。この部位の側窓は降下式となっており、コロナ禍では開閉していたため、カーテンが撤去され、窓ガラスに遮光フィルムが貼られています。
京都向きの転換座席です。乗務員室背面には固定式テーブルが備わります。
8000形の大阪寄り車端部は優先座席区画です。リニューアル工事の際にロングシートに変更されました。
日本一豪華なロングシートを目指して開発された6人掛け座席です。車端寄りから2人/4人でスタンションポールが設置されています。側扉寄りには大型の袖仕切りが設置されました。
バリアフリースペースと4人掛け座席の組み合わせです。バリアフリースペースには大型クッションが装備され、戸袋窓下には非常通話装置とパネルヒーターが設けられています。
2号車に連結される8100形の京都寄り車端部は一般区画です。
6人掛けの一般座席です。一般区画の座席は3人/3人でスタンションポールが設置されています。
3号車に連結される8500形の京都寄り車端部は一般区画です。
8500形の大阪寄り車端部です。登場時は編成分割位置であったため、貫通引戸に掛金具が残ります。
5号車に連結される8750形の京都寄り車端部です。編成分割位置のため、構内入換時に必要な設備が設けられています。登場時はこの位置にカラーテレビと個室型電話室がありましたが、リニューアル工事の際に客室化しています。
8750形の大阪寄り車端部です。6号車がプレミアムカーのため、車内の通り抜けは出来ません。
7号車に連結される8150形の京都寄り車端部です。5号車の8750形大阪寄り車端部同様にプレミアムカーへの車内の通り抜けは出来ません。
優先座席の転換クロスシートです。リネンを優先座席仕様にして識別されています。
優先座席部分の転換クロスシートです。シートピッチは920㎜となっています。
優先座席の向かいはバリアフリースペースが設けられています。そのため、扉間の座席は7列配置となっています。
リニューアル後の客室天井です。側扉部分から車端部にかけて吊手が設置されています。空調吹き出しはラインフローのみとなっています。
リニューアル後の蛍光灯です。蛍光灯カバーは難燃基準対応で2代目3000系と同じ素材で出来ています。
2018年以降の機器更新車の天井周辺です。
側扉部分とバリアフリースペース部分に設置される短い吊手です。8000系の吊り輪は赤色を採用しています。
ロングシート前と優先座席部分の吊手は低く設定されています。
全車座席指定の「ライナー」運用開始から座席番号が付きました。
側窓の内帯はアルミ型材が使用されており、ペットボトルは十分に置けますが、滑り止めはありません。
8750形の電話室跡の側窓です。個室型電話室が設置されていた部分は窓ガラスの幅が狭くなっています。
側扉は1100㎜の片開きです。座席配置の関係からロングシート寄りは立ち席スペースが確保されています。
リニューアルを機に情報案内用モニタ(LCD)が設置されました。
リニューアル当初は全箇所に情報案内用モニタが設置されていましたが、近年では京都方向を向いて右側は塞がれています。
床敷物は表面に滑り止め加工が施されており、マットの設置はありません。
妻部です。デザインは2代目3000系に始まるスラッシュ・ムーン(円弧状」デザインを採用しています。
1号車は平日の朝ラッシュ時は女性専用車両に指定されます。2023年5月15日より「ライナー」運用時の扉は全箇所開閉することになりました。
貫通引戸は光電センサーによる自動式になっています。
プレミアムカーと隣接する5号車の8750形大阪寄りと、7号車の8150形の京都寄りは車内からの通り抜けが出来ません。
貫通引戸は自動開閉機能が撤去されています。
Wifiサービスはプレミアムカー限定でしたが、2018年より一般車にも拡大されました。2023年3月31日をもって一般車のWifiサービスは終了しています。
号車表示、車号銘板、製造銘板は2代目3000系に倣い、ステッカーに変更されました。
5号車の8750形京都寄り車端部には構内入換用に可搬式運転台を装備出来る設備が設けられています。
床敷物は3000系や13000系と同じ黒色に交換されました。
ここからは4号車に連結されている8800形「ダブルデッカー」のご案内です。
他車と同様のロングシート座席ですが、スペースの関係から5人掛けとなっています。車端寄りから3人/2人でスタンションポールが設置されています。
1階/2階へ続く階段部分です。2階席の客室は8列32名の座席定員としています。車両限界いっぱいまでスペースを確保しているため、ドーム型形状となっています。初代3000系で改造により誕生した3855号車の座席配列は2列/1列でしたが、8000系では2列/2列の転換クロスシートに変更され、着席定員が増加しています。
座席は2代目3000系と同形状の背ズリ高さの低い転換クロスシートが配置されています。登場時はノルウェーのエクネス社製のリンク機構付き転換クロスシートでしたが、現在では全車がこの座席に載せ換えしています。
座席取手とロゴ入りリネンです。取手形状はデザインコンセプトのスラッシュ・ムーン(円弧形)となっています。
脚台は吊り下げヒータの採用により、足元に空間があります。
1階への階段上部の座席は同形状の座席が設置されていますが、固定席となっており、取手が省略されています。シートピッチは910㎜を確保しています。最前列の転換クロスシートです。機器配置の関係から点検扉が設けてあり、テーブルの設置は省略されています。
1階席への階段上部の座席は固定席のため、進行方向1箇所はボックス席配置となります。
2階客室の天井です。通路部分は天井方向の高さが確保されており、両サイドに荷棚が設けられています。登場時は電球色の蛍光灯でしたが、機器更新車は白色LEDに交換されています。
側窓はプリーツ式の横引きカーテンが備わります。
1階席は7列28名の座席定員となっています。
座席は2階席と同じ転換クロスシートが装備されています。1階席は側窓下面が高い位置にあるため、窓側に肘掛が備わります。
1階席の脚台は片持ち式となっています。
1階席は座席部分が1段高くなっています。
1階席は全ての座席が転換可能で、シートピッチは2階席同様に910㎜で展開しています。
1階席最前列は機器配置の関係からテーブルの設置は省略されています。
階段部分は仕切りパネルが設置されています。
1階席の天井には荷棚の設置は省略されています。照明は半間接照明となっています。
1階席も横引きのプリーツカーテンが備わります。大阪寄りの1階/2階へ分かれる階段部分です。
5人掛けの優先座席です。
バリアフリースペースと3人掛けの優先座席です。リニューアル当初の車端部天井です。他車と同じ難燃対策の蛍光灯カバーが装備されています。蛍光灯は電球色となっていました。
機器更新車の車端部天井です。灯具がLEDに交換されています。
荷棚は前飾り付きのアクリル板構成です。
8800形の側扉周辺です。乗客流動を考慮して、立ち席スペースを広く確保しています。
京都方面に向かって右側はLCDが撤去されています。
1階客室へ降りる階段です。2階席同様に階段部分からカーペット敷きになっています。
2016年に発生した乗客の転落事故により、現在では階段下の補助席は撤去されました。
1階席への階段部分に「ダブルデッカー」のプレートが設置されています。
他車同様に号車表示、製造銘板、車号銘板はステッカーに纏められました。
8000系の運転台です。京阪初のワンハンドルマスコンを採用しています。
リニューアル当初の種別、行先表示は幕式です。京橋⇔七条間ノンストップの快速特急「洛楽」運用時には車掌台側にノンストップの表示板を掲出します。
機器更新を受けた8000系は種別、行先表示器がLEDに交換されています。
機器更新を受けた車両の側行先表示器です。
8007編成以降の8500形大阪寄りは編成分割位置を解かれたため、妻窓と入換用標識灯の撤去が行われています。
8000系登場時はMGを搭載していました。
電動車に装備される軸梁式のKW-88形台車です。
付随車に装備されるSUミンデン式のFS-517D形台車です。登場時はFS-517C形を装備していましたが、6000系や7200系、9000系の付随車と振替えをおこなっています。
同じFS-517D形台車ですが、軸箱部分の形状が異なります。
ダブルデッカー車の8800形は軸梁式のKW-88B形台車を装備しています。
「大阪・関西万博」ラッピング車の急行運用です。