京阪電鉄 5000系 車体更新車 | 鉄道車内空間のブログ

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今まで撮ってきた鉄道車内画像を、個人的な感想を入れながらマニアックに紹介します。

京阪線の急激な乗客増加と慢性的な列車遅延の解決策として区間急行、普通列車の遅延防止を目的として登場しました。この車両の最大の特徴は日本初の5扉を備えた多扉車で、併せてラッシュ用ドア部分には座席昇降装置を備え、平日の朝ラッシュ時以外は3扉を乗降用、2箇所を座席として切り替えが出来る設計となりました。

車体は乗車定員の増大による自重増加を防ぐために、京阪初のアルミ合金車体の採用となり、在来車と比較して1両当たり3~4tの軽量化を実現しています。車体断面はアルミ押し出し形材を組み合わせて形成するため、垂直車体となり、前面は前照灯や貫通路の配置等は従来車と同じデザインながら、外板に厚みを持たしているため窓、貫通路が凹んだ位置に取り付いており、上部にひさしを付けてアクセントを付けています。

主制御機器は1500V昇圧に対応した1C4M構成の抵抗制御で、ブレーキ装置には京阪初の発電ブレーキ併用の全電気指令式電磁直通ブレーキを採用しています。

登場時は第2編成までは中間に運転台を挟み、3両と4両に分割が可能でしたが、第3編成以降は7両固定編成となり、第5編成からは前面貫通扉に行先表示器が設けられ、最終的に7編成49両が製造されました。1980年2月に枚方市⇔御殿山間で発生した置き石による脱線事故で5554号車が大破し、廃車となり代替新造で同年に1両が新製されています。1989年には方向板を使用し運用されていた第1~第4編成までに第5編成以降と同様に行先表示器の取付工事が行われました。

1998年からは大規模な車体更新工事が施工され、主制御器を1C8M方式の界磁添加励磁制御、回生ブレーキ優先電気指令式電磁直通ブレーキ (HRDA-1)に変更されています。第1・第2編成については他編成に合わす編成組み換えが行われ、中間に入る運転台の客室化も行われ、客室は7200系や9000系に合わせた化粧板、座席モケットの交換、常用側扉上部に情報案内装置の取付け等が行われています。

2008年からは新塗装化が行われ活躍していましたが、2016年に5557編成が廃車となり、京橋駅のホームドア導入に関して、他の車両とドア位置が異なる5000系が優先して廃車が進行し、2021年9月をもって全車引退しています。現在では5551号車のカットモデルが新製時の姿に復元され、くずはモールの「SANZEN-HIROBA」にて展示されています。

2次車に該当する5553編成です。この編成から7両固定編成で登場しています。

1980年に製造された4次車の5556編成です。1次車の登場から10年後に登場しており台車が変更されています。

旧塗装時代の5000系です。5554号車は1980年の置石列車脱線事故により廃車となり、2代目5554号車が新製されました。

第1編成の京都向き制御車の5551号車です。登場時は京都寄りから4両目に連結されており、車体更新時に組替えが行われました。床下にMGを搭載しています。

京都寄りから2両目に連結される電動車の5151号車です。登場時は京都寄りから5両目に連結されており、車体改修時に組替えが行われています。主制御器とパンタグラフを搭載します。

京都寄りから3両目に連結される電動車の5251号車です。登場時は京都寄りから6両目に連結されており、車体改修時に組替えが行われました。CP、補機類とパンタグラフを搭載しています。

京都寄りから4両目に連結される5651号車です。登場時は大阪向き先頭車としていましたが、車体更新時に組替えが行われ、同時に運転席の客室化が行われています。先頭形状はひさしの撤去が行われましたが、妻窓やホロ周辺に先頭車の面影が残ります。大阪寄りが編成分割位置となるため、中間車化に伴い簡易運転台が装備されました。

 

京都寄りから5両目に連結される電動車の5101号車です。登場時は京都向き先頭車の5001号車で、運転席の客室化が行われています。中間車化に伴い、簡易運転台が装備されました。

京都寄りから6両目に連結される電動車の5201号車です。登場時は京都寄りから2両目に連結されていた5101号車で、車体更新時に組替え及び車番の変更が行われました。

大阪向き先頭車の5601号車です。新製時は京都寄りから3両目に連結されており、車体更新時に5651号車と差し替えが行われました。床下にMGを搭載しています。

新製時から7両固定編成として登場した5553編成の京都向き制御車の5553号車です。

京都寄りから2両目に連結される電動車の5153号車です。

京都寄りから3両目に連結される電動車の5253号車です。

京都寄りから4両目に連結される5653号車です。登場時は5853号車でしたが、車体更新時に5650番台に改番されました。大阪寄りが編成分割位置のため、簡易運転台を装備しています。

京都寄りから5両目に連結される電動車の5103号車です。車体更新時に京都寄りに簡易運転台が装備されました。

京都寄りから6両目に連結される電動車の5203号車です。

大阪向き制御車の5603号車です。

それでは客室のご案内です。車体改修直後の客室は7200系、9000系に準じた配色になっていました。

定期検査入場した際に、10000系に合わせたモケットに交換されました。

2008年の中之島線開業に伴い、5000系以降の車両に採用された座席モケットです。5556編成の一部車両が最後まで残りました。

13000系が登場すると、5000系以降の従来車も同じものに交換されました。

平日朝ラッシュ時以降の一般座席です。扉間、ラッシュドア部分の座席は4人掛けとなっています。

優先座席はオレンジ主体の座席モケットで識別されていました。

平日朝ラッシュ時の客室です。ラッシュ用ドア部分の座席は上昇され、客用扉として扱われました。

手前がラッシュ用ドアの部分で座席が上昇しています。

朝ラッシュ時の優先座席区画です。

京都向き先頭車の5550形の客室です。

5扉車両の特性から京阪電車唯一の乗務員室仕切部後方は客用扉となっています。

乗務員室仕切り部は大型窓があり、前面展望が可能でした。

5550形の大阪寄り車端部は優先座席区画です。先頭車の車端部は両側で客用扉が配置されています。先頭車の妻窓は開口面積確保の観点から、2段式開閉窓となっています。

大阪寄り車端部はバリアフリースペースが整備されました。手摺りの設置と妻窓下にパネルヒーターが組み込まれました。

中間車は左右非対称となっており、一般区画の座席が配置されています。中間車の妻窓は車体更新時に2段窓から1枚ガラスに交換されました。

車端部の座席は3人掛けです。

中間車の大阪寄り車端部です。優先座席区画となっています。

中間車の大阪寄り車端部は先頭車同様にバリアフリースペースが設けられています。妻窓は側窓のみで開口面積が確保出来るため、1枚窓に交換されています。

5551・5552編成に連結されていた5651・5652号車の客室です。この車両は元大阪向き先頭車の運転席を客室に改造しています。そのため、中間に連結されていますが、先頭車と同じ扉配置になっています。

京都寄り車端部は一般区画ですが、先頭車の扉割付となっています。

車端部は扉配置のため、立ち席スペースが広がります。車体更新時に運転席が撤去され、消火器が移設されました。

大阪寄りの車端部は優先座席区画です。運転席を客室化したため、3か所の座席が優先座席となっています。

運転席を客室化した部位はバリアフリースペースが設けられました。妻窓は運転席窓のサイズを残存させたため、他の妻窓とは高さや形状が異なります。編成分割位置のため、簡易運転台が新設されています。

客室化により新設された優先座席は4人掛けです。

この区画は車端部までバリアフリースペースとなりました。

5653~5657号車までの大阪寄り車端部です。中間車として新製されたグループで、簡易運転台が設置されているため、妻窓下に扉が設けられています。

5101・5102号車の京都寄り車端部です。この位置も運転席を客室化した部位で一般区画の座席が設けてあります。客室化の際に簡易運転台が設けられました。

座席は4人掛です。

5103~5107号車の京都寄り車端部です。中間車として新製されたグループで、車体更新時に簡易運転台が新設されました。そのため、妻窓下に扉が設けられています。

車端部の座席は3人掛けでとなっています。

5100形の大阪寄り車端部は優先座席区画です。

5100形は京都寄りに簡易運転台が設置されている関係から、消火器が大阪寄りに設けられています。

大阪寄り先頭車5600形の客室です。

5600形の京都寄り車端部の座席は一般区画です。

先頭車の車端部は客用扉があるため、立ち席スペースとなります。5550形同様に妻窓が2段開閉式となっています。

大阪寄りの座席は優先座席区画です。

乗務員室仕切り部です。運転席後部はバリアフリースペースとなっており、パネルヒーターが装備されています。

客室天井はレール方向に吊手と蛍光灯、中央天井部は横流ファンと回転グリルが装備されています。5000系の天井割付がを基本として展開され2200系冷房改造車、2600系、2630系まで踏襲されました。

冷房装置の直下には回転グリルが装備されています。

客室蛍光灯はカバー付きが再用されています。

荷棚は金網構成で、先端部は混雑時のグリップ機能を兼ね備えています。

側窓は2段式のユニットサッシとなっています。新製時は下段も開閉が可能でしたが、安全性向上のために固定窓に改造されています。

側窓カーテンは白地の生地に交換されています。

優先座席部分のカーテンは標記入りの生地となっています。

中間車の京都寄り車端部の側扉部分です。座席配置の関係から車端部寄りに立ち席スペースが確保されています。

中央部分の側扉です。立ち席スペースは少なくなっています。

京都方面左側の鴨居に情報案内装置が設けられています。車体更新当初はLED点灯の路線図マップも併設されていましたが、のちに交換されました。

京都方面右側の鴨居は路線図枠のみとなっています。

ラッシュ用扉部分です。座席昇降装置のガイドがあり、扉両横が飛び出た格好となります。座席使用時を考慮して、扉ガラスは着色ガラスが採用されています。

平日朝ラッシュ時のみ座席が上昇して、客用扉として活用されています。吊手は座席使用時も考慮して、跳ね上げ式吊手が装備されています。

ラッシュ用扉横には座席昇降装置の機器箱が設けられています。

平日朝ラッシュ時以降は座席として使用されます。

ラッシュ用扉部分には座席ヒーターが設置できないため、両側に温風ヒーターが備わります。

側扉部分の床敷物には滑り止めマットが溶着されています。

貫通扉はドアチェックが取り付けられ、自閉式に改良されています。車体改修時に取手も大型のものに交換されました。

先頭車の妻窓は2段開閉式のユニットサッシが再用されています。貫通扉横に非常通報装置が新設されました。

中間車の妻窓は1枚固定窓に交換されました。

中間車京都寄りの妻部です。機器配置の関係から貫通扉、妻窓上部が張り出ています。

客室の消化器収納箱は化粧板仕上げです。

移設があった箇所の消化器収納箱は平滑になっています。

客室床敷物はチップ柄に張り替えられています。

2車間の渡り板です。登場時は固定部分は3枚方式、編成分割位置は折り畳み式の2枚構成となっていましたが、車体更新時に2枚構成に変更されています。

運転席を客室化した部分の渡り板は、先頭形状を生かしているため、桟板までの取付け部分が幅広くなっています。

5000系車体更新後の運転台です。貫通路の仕切り壁が撤去され、開放的になりました。

5000系の前面デザインは車体更新時に統一されました。5551編成のみひさし形状が他編成と異なります。

側行先表示器は種別と行先が別々のものとなっています。車体更新時にガラスの金属枠が撤去されました。

アルミ製のラッシュドアです。5551~5554編成で多く見られました。

ラッシュ用ドア標記です。

ステンレス製のラッシュ用ドアもありました。

5555編成~5557編成までは窓ガラス寸法が変更になりました。

5551・5552編成の元運転席部分です。

先頭形状は折り妻で、ひさしを撤去しています。

5551・5552編成の簡易運転台部分には標識灯が設けられています。

5653~5657号車までの簡易運転台の外観です。

5103~5107号車に新設された簡易運転台の外観です。

5551~5555編成までの電動車に装備されていたKS-76A型エコノミカル台車です。

5551~5555編成までの付随車に装備されていたFS-377E型側梁緩衝ゴム式台車です。

5556・5557編成の電動車に装備されたKW-31型乾式円筒案内式台車です。現在では叡山電鉄の老朽取替用として転用されました。

5556・5557編成の付随車に装備されたFS-399A側梁緩衝ゴム式台車です。

5551編成のラストランに掲げられた副標識です。

2021年1月29日をもって5扉の定期の旅客扱いを終了しています。

ラッシュドアの開閉です。

平日の朝ラッシュ時以外はラッシュ用ドアを締め切り扱いで運用されました。

通勤準急運用に入る5551編成です。

枚方市に停車中の5555編成です。