信越五岳トレイルランニングレース2014 | 計測工房社長・藤井拓也のブログ

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マラソン大会などのスポーツイベントのタイム計測のプロフェッショナル、株式会社 計測工房の社長である藤井拓也のブログ。

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去る2014年9月14日(日)-15日(月)にかけて長野県/新潟県に
またがって、信越五岳トレイルランニングレース2014 が開催され、
計測工房にてタイム計測を担当させていただき、私・藤井が計測
ディレクターを務めさせていただきました。

この大会は長野県と新潟県にまたがる信越五岳(北信五岳)と
呼ばれる5つの山々すなわち、斑尾山、妙高山、黒姫山、戸隠山、
飯縄山をめぐる110kmを制限時間22時間以内に走破するという
ロングのトレイルランニングレースです。

募集定員は600名ですが、エントリーは「第1関門ならぬ第ゼロ関門」
と呼ばれるほど人気が殺到して、エントリー開始するやいなやわずか
数分で定員に達してしまっていたのですが、今年から抽選方式に
変わりました。トレランの大会でエントリーが抽選というのも他では
あまり聞きません。


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信越五岳(北信五岳)です。(以前、私自身が撮影)
右から、斑尾山、妙高山、黒姫山、戸隠山、飯縄山。



この大会の特徴は、(以下抜粋)

・トレイルランナー石川弘樹氏がプロデュースした、信越五岳を
 結ぶ全長110kmの
壮大なコース設定。その97%以上がトレイル。
 全行程が走れるコースレイアウト。

・家族や友人が選手にサポートを提供できるアシスタントポイント
 制度の設置。夜間走行
となる選手の安全に配慮したぺーサー
 (伴走者)の同行を許可する区間の設定。
トレイルランニングの
 本場・北米の大会運営のノウハウを導入。


・参加者数を制限し、開催後のトレイルの検証とメンテナンス等、
 さまざまな形で自然
環境に配慮。参加費の一部をコース近隣の
 トレイルの維持管理や
自然環境保護等の活動支援に使用。

という特徴的なコンセプトと趣旨で、今回で6年目の開催です。
(弊社での計測は4回目)


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大会前日は、スタート地点である斑尾高原スキー場にてウェルカム
パーティ。ここで参加者の皆さん全員の夕食です。
選手、ペーサー、そしてスタッフを合わせると1,000人ぐらいの人々
が一堂に夕食を取る光景もすごいです。


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明けて大会当日、同じ場所で今度は朝食の提供があります。
スタート前の、ほどよい緊張感と高揚感に包まれています。


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信越五岳トレイル特有のドロップバッグ制度。朝、スタート
地点で預けた荷物を5A(妙高高原乙見湖)で受け取ることが
でき、5Aでは不要になった荷物を再び預けることができます。

110kmの長大なレースでは刻々とコンディションが変化し、
環境に応じた装備品、ウェアが必要なロングのトレランならでは
の制度です。計測の観点から見ると、ドロップバッグと一緒に
計測用のICチップも預けてしまったという笑えないトラブルには
要注意ですが・・・。


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スタート地点にはタイム計測用アンテナマットが設置してあります。
いよいよスタートです。


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スターターはプロデューサーのプロトレイルランナー石川弘樹 さん。


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そして午前5時30分、110kmのロングジャーニーがスタート。
今大会では参加者の皆さんのゼッケンに取り付けられたICチップ
によってタイム計測をおこないました。


今大会ではスタート地点、フィニッシュ地点の他にコース途中の
4ヶ所を計測
しました。いずれの計測地点も、随時、計測データ
をフィニッシュにある記録室に送り、記録室でレースの人数管理に
努めます。


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ここは4Aの黒姫高原。地面にはタイム計測用アンテナマットを設置。
(計測工房スタッフS氏撮影)

今大会では、全部で8つあるエイドステーションのうち、4ヵ所には
「アシスタントポイント」も設定されており、応援だけでなく、飲食物や
マッサージ等のサポートも可能です。


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4Aのエイド風景。(計測工房スタッフY氏撮影)


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エイドで束の間の休息を得る参加者の皆さん。
(計測工房スタッフY氏撮影)


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4Aを出発して、長い旅路の続きへ。(計測工房スタッフS氏撮影)


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ここは5Aの妙高高原・乙見湖。計測地点のうち唯一の新潟県。
地面にはタイム計測用アンテナマットを設置。(写真は2013年)
なお、ここは携帯電話が一切通じない難所・・・。


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ここは6Aの大橋(長野市)。 (計測工房スタッフK氏撮影)
地面にはタイム計測用アンテナマットを設置。


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ここは8Aの戸隠高原。地面にはタイム計測用アンテナマットを設置。
(計測工房スタッフI氏撮影)

8Aが最終エイドですが、この先に、このレースのコース中で最高峰と
なる瑪瑙山(標高1748m)が待ち構えています。


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いずれの計測地点においても、その場での通過情報を集計するとともに、
フィニッシュ記録室にデータを送り、フィニッシュ記録室において全体を
把握・管理するという流れでした。(計測工房スタッフS氏撮影)


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そしてフィニッシュ地点は飯綱高原のハイランドホール飯綱。
タイム計測用アンテナマットを設置してあります。


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夜はこのような雰囲気に。ほとんどの参加者の皆さんは夜に
フィニッシュします。(日没前にフィニッシュできるのは、一握りの
上位選手のみ)


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フィニッシュ地点のすぐ脇に記録室が設けられ、通過情報の管理、
記録集計にあたりました。


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2014年の男子先頭フィニッシュ!
原良和選手で、タイムは10時間17分17秒でした。


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そして2位の山田琢也選手が10時間43分3秒


これまでのコースレコードは相馬剛選手が保持していた11時間5分57秒
でしたが、今年は上位3名がこれを破る新記録で走りました。
今年は気温が低く、上位選手には走りやすいコンディションだったものと
思われます。
(ちなみに女子の高島由佳子選手も11時間56分24秒の大会新記録)


これまでの大会記録保持者だった相馬剛選手・・・

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写真は昨年2013年のスタート地点ですが、中央の赤いウェアが相馬選手。

相馬選手は、この信越五岳トレイルランニングレースを第1回から第3回
まで3連覇。日本のトップトレイルランナーの1人でした。しかし今年2014年
の7月にマッターホルンへの登山中に遭難され、現在も行方不明です。

相馬選手は今年2014年6月の時点でブログでこんなコメントを・・・

(前略)
・・・信越五岳は日本のロングレースの方向性を示したepoch-makingな
レース。参加される選手、ペーサー、サポーター、そして、運営スタッフの
皆さん、今年も最高のレースとなるよう全力で楽しんでくださいね。
私も必ず信越のトレイルへ帰ります。



プロデューサーの石川弘樹さんも、ウェルカムパーティでのあいさつで
相馬選手の名前を挙げていましたし、男子で2位に入った山田琢也選手も
インタビューで、相馬選手の記録を破ることが目標だったと述べていました。

多くのトレラン関係者が相馬選手の帰還を待っています。



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フィニッシュ地点は応援の方や関係者でごったがえします。


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110kmを走り切っての万感のフィニッシュ!
制限時間は22時間ですので、最終ランナーを迎える時刻は深夜
3時30分になります。


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そして多くの選手が1人ではなく、ペーサーと手を取り合って
フィニッシュしています。
信越五岳といえばペーサー制度。5Aからフィニッシュまでの後半
45kmは、ペーサーと一緒に走ることができます。

プロデューサー石川さんのコメントです。

・選手に対してサポートクルー、ペーサーが選手と共に戦い、
 思い出の時間を共有することが出来ます。


また、大会プログラムには、(以下抜粋)

・大会プロデューサー石川弘樹氏のトレイルランニングへの深い
 理解と愛情によって導入されたペーサーシステムは、110kmに
 及ぶ信越エリアの神秘的なトレイルを、信頼するもう一人のラン
 ナーと分かち合うことができる本大会の魅力的な特徴である。

ペーサーと共に戦うと、完走の喜びも2倍。全参加者の1/3に
あたる約200人の選手がペーサーと共に走りました。
1人では困難な110kmの道のりも、ペーサーと2人3脚なら乗り越え
られる場面も多くあることでしょう。


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フィニッシュ会場には、全計測地点の通過速報が貼り出されました。


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なお、完走者には氏名とタイムが彫られた木彫りの完走証が発行
されます。
(写真は2013年に今大会を完走した計測工房スタッフF氏のもの)


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今年は非常に寒いコンディションとなり、トップ選手には走りやすい気候
だったと思います。フィニッシュ地点の飯綱高原では、夜はストーブも
登場。スタッフはダウンジャケットを着込み、9月とは思えぬ寒さの中で
夜を徹しての大会運営でした。


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5つの山々を駆け巡る110kmのロングのトレランレースである、信越五岳
トレイルランニングレースは、計測工房にとってトレイルランニング計測
の原点の大会です。ここで我々も多くを経験し、多くを学び、それが他の
トレラン大会の計測の血肉となっています。



This is timing man. We are professional timing man.
Born this way. This is an everlasting journey.


今回も一期一会の貴重な仕事の機会を頂戴したことに感謝です!
この現場が次の現場に繋がりますように。