匂いの記憶 3.香ばしい、熟成された、豊かで上品なにおい。 街の中の鰹節屋。 袋いっぱいに詰め込まれたふわふわの削りたてのかつお節。 きれいな螺旋の形がつぶれないように、そっと優しく抱える。 お味噌汁の中に溶けこんでも決して消えることはない。 ほのかに、だけど存在感のある、複雑な風味が入り混じった深いにおい。 丁寧に、時には急いで、だしを取る。 いずれにしてもほっとする。 時々、おつかいに行った場所の匂いの記憶は、慈愛。