佐渡の食 俺の備忘録 料理人修行の話 | 佐渡の食と佐渡の食文化

佐渡の食と佐渡の食文化

生まれ育った佐渡の郷土の食や素材や料理法など綴っています。昭和の頃食べた伝統的な料理や素材にまつわる家族や村の話など交えて記憶に残る景色を綴っております。
株式会社創 代表取締役 東京都渋谷区代々木2-30-4 YCS2階
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昭和53年の4月

佐渡島の高校を卒業し

東中野の結婚式場で

新社会人の料理人として

仕事を始めた。

 

いきなり春の結婚式シーズン

2週間のオリエンの後

各席セクションに振り分けられた。

 

折詰と鯛を塩焼きする折詰め場

刺身をつくる刺身場

お椀や煮物をつくる煮方場

前菜などをつくる口代わり場

揚げ物全般の揚げ場

そして洋食部門。

私は揚げ場に配属

もちろん包丁などは

持たせてくれない

もっぱら冷凍車海老の殻剥き

そして身のしである

一人約2本から3本だから

多い土日などは6000人の

お客様に天ぷらを提供するので

ゆうに1万本は超える

そして大事な仕事に

天ぷらの小麦粉を

篩にかけなければならない

狭い倉庫で篩にかけるので

帽子から白衣まで

小麦粉だらけ叩くと

辺り一面真っ白。

社員寮は歩いて15分

朝は5時に入る時が常

混んでいるときなどは

2時からの出勤である。

 

社員食堂があるのだが

早朝なので行く暇もない

賄がつくられる

各セクションで一品程が

センターテーブルに集まる。

揚げ場は簡単で天かす

刺身場はマグロの端っこ

煮方はあっつあっつの味噌汁

洋食からサラダが来る

揚げ場のもう一品は

天ぷらにつける大根おろし

その葉っぱを湯がいて

刻み塩と醤油そしてニンニク

これにラー油をかける

時よりここに納豆が入る。

こいつを炊き立てのご飯に

乗っけるのである

これがまた旨い

早朝から忙しくしている

腹はペコペコ

食材の端っこではあるが

板場の隠匿になる

他に調理場には

食器をそろえる配膳や

ご飯炊き

皿洗いなどの

人達が働いている

ましてや調理部長の出勤前に

何事もなかったかの如く

していないといけないので

椅子に座ってなんてしない

しゃがんで皆が棚の陰などで

掻っ込むのである。

 

入ったばかりの新前は

ゆっくり食べてられない

先輩にお代わりや

お茶などを出すのである

もう何を食べたのかわからない。

 

一回戦が10時半から

次々とオーダーが入る

もう板場は戦争状態

天ぷらのフライヤーは

二つあるがフル稼働

午後には油を総取替え

天かすが山盛りになる

そいつを通路に運ぶ

時より余りも高温なので

ボヤになることもある。

やっと夕方6時なると

すべたが終わる

それから掃除をして

やっと社員食堂に

夕食を食べにゆくのである。

 

今となっては懐かしい思い出

大根菜の賄漬物は時より

自宅でもいい葉っぱが

手に入るとつくる時がある。