京都灼熱仏像ツアー⑤ @三十三間堂 | キリギリスのつぶやき

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キリギリス体質な社内通訳者の悪戦苦闘な日々のつぶやき・・・  
   

戻って参りました、みなさま、お楽しみの(?)、暑苦しい時期に、さらに体感温度を上げる、仏像見学紀の後半であります。あ、ちなみに、私のブログは、仏像ネタになると、アクセス数やコメント数が激減しますが、そんなことは気にせず、突き進んでいます。はい。



もう既にさかのぼること3週間前の、灼熱の週末に京都出張が入り、ついで(?)に滞在を伸ばして、京都仏像ツアーを一人で敢行してきました。興味のある方は、京都灼熱仏像ツアー①~④もご覧下さいまし。



さて、京都に行ったら絶対絶対観なければ気がすまない、キリギリスの個人的パワースポットが、三十三間堂であります。



キリギリスのつぶやき   キリギリスのつぶやき

なが~~~~~~いお堂です。



そりゃぁ、もうこのお堂を初めて観た幼少の頃のキリギリスは、度肝を抜かれましてね。それ以来、私の仏像好きの原点ともなったお寺でございます。


ご存知の通り、京都の駅からも程近い場所にあります、平安後期1165年に、後白河上皇が、ご自分が院政を行っていた院御所内に、平清盛の資金援助をもって建立させたのが、現在の蓮華王院の本堂 通称「三十三間堂」です。


33の柱で区切られた柱間があるお堂なので、三十三間堂と呼ばれるようになったそうですが、この国宝のお堂は、鎌倉時代に一度焼失していて、1266年に再建されたお堂が現存しているそうです。


33というのは、仏教界ではマジックナンバーですね。観音菩薩が、33の姿に変化してこの世の者を救う・・・というところから来ているみたいです。


こちらのご本尊は、千手観音さまです↓(パンフレットの写真拝借していますー)
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・・・・スゴクね?!



どんだけ手があんの?!って話ですよね。手ばかりか、顔だって複数あるんですよ。これだけ手やら顔やら多くて、色々持たれてたら、もう気味悪いってか、妖怪か?!ってことになり兼ねないんですが、こんな異形をしていても、怖いという印象は余り無いですね。


まぁ、小学2年生くらいの頃に初めて目にした時は、そりゃぁ、もう度肝を抜かれて、魂もどっかに飛んでったかと思う位の衝撃でした。今でも、このご本尊の前に行くと、口をぽっかーーーーんと開けて、馬鹿面晒しまくります


だってさぁ。立体でさぁ。仏でさぁ。絵でもCGでもないのよ。立体的な存在感を持った、しかも人と似た形の仏像がね、このぶっ飛び様ですから!


しかも、この三十三間堂、何がスゴイって、本尊の周りに1000体の千手観音がぞ~~~ろぞろ立ってるんだからね!!


パンフレットより写真拝借しております↓
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ってか、マジでスゴクね?!(感嘆しすぎて軽薄な物言いになっとります、はい)



だってね。考えて見てください。普通の人間とかね、マネキンとかね、人形でも何でも良いですが、そういう人の形のモノが、1つの部屋で、1000体並んでいたら、そりゃもうそれだけで、もんのスゴイ迫力ですよ。圧倒されるはずです。


それがね、この1000体、本尊入れて1001体の千手観音なんですから。


手、ありすぎだろぉ~~~~ってことですよ。はい。



千手観音っていうのは、良いやつですよ。千手千眼自在菩薩というのが正式名でしてね。千の手の、それぞれの手の平に目を備えているんです。


千って言っても、本当に千本手があるわけでも無いですね。千というのは、もう昔では「すんごい沢山」っていうのの代名詞的なものでね。無限ということの象徴です。


つまり、千手とは、無限の慈悲をもって、全ての生けるものを救う象徴です。


通常、千手観音像というのは、11個の顔と、40本(20ペア)の手があって、あとは中央に合掌しているもう1ペアの両手を具えています。


一手二十五有済度と言って、1本の手で、25の魂を救済できるということになっていて、

25 X 40本 =1000 即ち千手  ということなんですって。


しかも、一人の千手観音さまが、最初に書いた様に33の姿に変化して人を救うて~~んですから、1001体も千手観音が居たら、3万3千33体の千手観音が存在しているのと同じことです。


3万3千33体、全部が千手で救済を行うとして、もうこのお堂だけで、33,033,000の凡人を救ってくれるポテンシャルがあるってことですから、もうベラボウなことになっとります。はい。日本の全人口のかる~く4分の1くらいはイケちゃうって感じですか?


ま、そんな計算はさておき。


このお堂、スゴイですよねぇ。壮観というのは、こういう眺めのことを言うんだと思います。本当に、コレは一見の価値あります。


この1000体の千手観音像ですがね。本尊より小さいですが、良く出来てます。名も無い仏師の作のものから、作者不明のものあれば、後世に名を轟かせた有名仏師の作の観音も、ずらりと並んでいます。この1001体の中で、必ず逢いたい人の顔が見つかる・・・などとも言い伝えられて居ます。


中でも有名な仏師に、私も大ファンの湛慶(たんけい)という人が居まして。この人は、ここのご本尊も作成していまして。お父さんも超有名な仏師です。


この湛慶作の千手観音が素敵なのさ。お堂の真ん中あたりに、お坊さんがテーブルを出して座って、御朱印を出してくれる場所があるんですがね。それの直ぐ後ろに立っている、千手観音が湛慶作で、3体もあるんです。


千手観音には、番号札がふられていて、その520から560号まで(御朱印台の後ろ)が、湛慶作なんですが、作者が同じでも、顔の印象はそれぞれ。本当に生きているみたいに、個性的なのが、驚きです。


私は、特にこの御朱印テーブルの後ろの550番の湛慶の千手観音が大好きです。堂々としていて、手の形がリアルで、綺麗なお顔なんですねぇ。


あと、このキリギリス、何を隠そう、生粋の手フェチなものですからね。手に注目してしまうんです。千手観音ですから、手の造作ってのは、重要です。数が多いしね(笑)


千手観音の団体の前には、守護神の像が沢山並んでいるのですが、帝釈天像の左後ろあたりにいる、170号の院恵作の千手観音の手がね。すんばらしい!!!決めては、右の方で「げきさく」という長いもの、左では「しゃくじょう」という長い物体を持っている手があるんですがね。その2つの手の美しさで、優劣をつけるのが、キリギリス流です。


その指の形といい、力を入れたところの、指のそり具合の優美さといい、何とも握りこんでいる指のまとまり具合と言い・・・・ 


良いんだよ~~~。素敵です!!


金毘羅王像という、ワニの化身で雨や水の神様の像がありましてね。その後ろに控えている、660号の千手観音も、なかなか良いですよ~~。康円作となっているんですが、表情が良い!微妙な三白眼でね。他の観音様は眼を瞑って瞑想している風なのに、この観音ったら、なんだかコワイ三白眼を開いてまして、前に立つと、ものすご~~~く「見られている感」があるんですね。でも、目つきはコワイですが、この観音も手は素ん晴らしく優美です。


・・・と、こういう風に、1001体の千手観音を微に入り、細に渡り眺めまわしていますと、もう何時間でも千手観音の世界に引き込まれて、もう2度と戻れないんじゃないか?!って~~~ぐらいに、ハマること間違いなしです。


皆様も、1度はこの千手ワンダーランドを体感してみておくれ!!スゴイんだって!ホントに!!!



ちなみに、千手観音に対してのお経は、オン バサラ ダルマ キリ ソワカ  ・・・と言うんだって。お堂の立て札に書いてあったさ。


千手観音の団体には、圧倒されまくりますが、その他の守護仏像もなかなかの名作が並んでいて、見所満載ですので、お見逃しなく。


みなさん、一度は教科書などで目にしたことがあると思う、この有名な風神・雷神像もこのお堂所蔵です。
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↑パンフレットの写真拝借しています~~


ふ~~~、盛り沢山の三十三間堂でした~~~。タイのお寺などでは、仏像の大きさに驚くし、カンボジアのアンコール遺跡もその石造りの像の精巧さに度肝を抜かれたけれど、このお堂の人海戦術的な、数を頼んで迫力を出す辺りとか、1体1体が凝りに凝っている、職人技の世界とか、本当に日本っぽいなぁ・・・・・と思ったりします。



それにしてもスゴイです。ここが世界遺産で無い意味が、私にはまったくもって理解できん!!