今日の夕方にかみさんがiPhone5を買って帰ってきた。
まさに今、初期設定でうんうんうなってるところだ。
ガラケーからスマホってのはかなりハードルが高いらしい。
箱からiPhoneを取り出してからもう四時間たってるのに終わらない。
手伝ってやろうかとも思うけど、苦労して覚えないといつまでたってもだめだから。
だから、ぜったい手伝わない。
配偶者がうんうん言ってるのを横で聞いてるのも忍びないが本気で彼女を思うなら手出し無用だ。我慢こそ親切だ。
おれが今使ってるパソコンはマックだ。
六年か七年くらい前にiPod nanoを買って、翌年に新しいiPod nanoを買って、その翌年にiPhoneを買って、そのまた翌年にiPadを買った。
iPadを使うのと同じくらいの時期にマックを買った。
Apple IDっていうのをすべてのマシン共通で使ってるんだけど、これがどこかに漏れたらおれの人生は終わるだろう。
そのことに気づいたのはつい最近だ。
あまりに生活のすべてをアップル社に依存しすぎてる。
そう考えると、もしアップル社の極悪社員に目をつけられたらおれはやばいかもしれない。
おれの人生が終わるなんて簡単なことかもしれないと思ったのはつい最近だ。
便利が馬鹿な人間を作るっていうのはそういうことだ。
警戒してるつもりでも根本があまいんだから。
おれだけじゃないだろう。
IDとパスワードで構成された世界が安全だなんてどうしてそんなこと言えるんだろう。
おれの脳にマックを埋め込みたいよ。
ネットワークはテレパシーみたいにして世界中と瞬時につながれるように。
そうすればいろんなものを持ち歩かなくてすむしおれはたったひとりで生きれる。
そんなはずないさ。
コンピューターを埋め込んだってたったひとりじゃ生きられないな。
大丈夫か、そろそろ手伝ってやろうか、もう寝ろよ、うんうんうるさいんだよ、とかなんとか相手してやる人間の空気っていうのこそが必要なんだ。
うるさいわ、できるわ、放っとけ、手伝うなら最初からやってくれ、とかなんとか言いたげなしょうもない配偶者の存在こそがおれの生活そのものなんだ。
彼女はどつぼにはまってるから、おそらく朝までコースだ。
おれも昔そういうことがあったからわかる。
横であれこれ話しかけてやればいい。
うるさい、気が散る、知ってて教えてくれないくせに、とかなんとかいろいろ言われてもいいぜ。
遅くまで勉強していた娘はさっき寝た。
でも夜は長い。
でもコンピューターで困ってるとあっというまに朝がくるよ。
そういう朝はへろへろなんだ。
アップルのはそんなむずかしくないはずだけどね。
ひとによるのかな。
まあがんばれ。
初期設定が終わればあとは楽しいよ。
おれは楽しいんだから。
ぜったい楽しいはずだよ。
ほとんどのひとはね。
おまえの場合はどうかわかんないけど。
ひとはひと。
おまえはおまえ。
