作:福谷佳祐
ここから完全なネタバレです。
読んでしまった責任はご自身でお取りください。
で、ね。
「レモンキャンディー」なんてタイトル、なんかふわふわしてて、可愛らしいイメージだよね。
それがさドラッグの名前だったの。
最後の最後に全員、ドラッグのレモンキャンディーを舐めるのよ…。
いい意味で期待を裏切られたわ。
あらすじはね、男女8人が乗った飛行船が故障するところから始まるの。墜落まであと7日間。
あと7日後に死が待ってる男女がどうなるかが見どころ。
で、なぜ飛行船に乗ってるかの目的が不明なの!でも何かの実験らしい。
「地下アイドルの綿雪」は恋愛しようとしてるし、「スタントマンの雷鳴」は人間観察バラエティの撮影だと思ってる。「現実とファンタジーの境界線がわからない曇天」は治療の一環だと思ってる。
それぞれが、目的を知らずに、勝手に勘違いして乗ってるの。
最初にパニックになった「大学院生の夜霧」は宇宙なのに重力がないのがおかしいって言うけど、他の誰一人、重力がわからない。
この辺りは好きな部分。
彼女の存在は、
「私の当たり前の常識は別の人にとっての当たり前の常識ではない。」
という役割を果たしてた。
そして、若い男女なわけで、残り7日間どう過ごすかが可笑しくて。
「地下アイドル綿雪のファンでオタクである砂嵐」は地下アイドルの歌を歌うけど、下手で聞いちゃいられない。地下アイドルの名前は「社会問題」。ニュースでよく聞く単語を並べて歌ってる内容のない歌。
そんな中、「子作り」と呼ばれる行為をする「スタントマンの雷鳴」と「風俗嬢の朝凪」。この辺り、若い男女ならではの『性』が取り上げられてるし、『性』をお金で買う。さらに、「ホストの快晴」は「地下アイドル綿雪」を強姦。
そ、そんな内容なの!?
さて、カンカンに怒ってる「地下アイドル綿雪」。「ホストの快晴」を罰しようとするけど。
もう死ぬのがわかってて何をどう罰するのか。
「意味なくない?」みたいなやりとりが。
人は死を目の前にして、どう生きるか。
このレモンキャンディーのテーマ。
私の一番のお気に入りは「信仰宗教の信者 雨水」が唱える言葉「ハッピー」。
「ハッピー」って軽いよね。
しかも強姦があったりするなか、「信仰宗教の信者 雨水」は「信仰宗教のクラブがある部村でハッピーハッピーしまくった」と。
「ハッピーハッピー」ってそういう使い方できるのね。新たな発見。
そんなこんなでもうあと12秒で墜落するという時、「ホストの快晴」がレモンキャンディーを皆に配り食べさす。
このレモンキャンディは6秒を1時間と勘違いできるドラッグらしい。
墜落まで実際は12秒だが、2時間と感じるわけ。
さて、若者たちの運命は…。
ここでおはなしは終わる。
墜落したのかどうかはわからない。
例えばこれは
「テッテレー!ドッキリでしたー!」
かもしれない。
観たものが好きに想像できるようになっている。
生きることの意味。
日常の意味。
自分の当たり前の意味。
そんなテーマを含んだ作品で、面白かったし、役者が大学生だから、生々しく、ちょっと照れちゃいました。
以上