昨年公開された映画の興行収入を、
wikipediaで調べると、以下のようになる。


「ゲド戦記」は約77億円。
「時をかける少女」は約2.4億円。


もちろん、双方にかけた予算や、収入見込みもあるから、
この2つを直接比較することは、妥当とはいえない。


だが、「ゲド戦記」が、あれだけひどい評価をうけながら、
これだけの数字をあげた、という事実は、
セールスというものの一面の真実を示している。


なぜ、あれだけ内容についての悪評を受けながら、
これだけの数字があがってしまうのか。
諸々の事例をあえて無視し、端的に理由をまとめれば、

それはつまり、「話題にできるから」ということになる。


「ゲド戦記、みた?」
「見てない~ あんたみたの?」
「一応見てきた。いわれてるほどクソかな~って感じ」
「いや、あれはダメだろ」


こんな感じである。


評価尺度としてあげるなら、「話題性」といったところか。
冒頭にあげた2つの作品は、この「話題性」によって、
数字の影響(恩恵?)を受けた作品である、と思う。


「ゲド戦記」は、その内容よりも、
ジブリの後継問題という話題性で、数字的には惨敗せずにすんだ。
「時をかける少女」は、その出来のよさで、
ネット上での「話題性」をかちとり、もともとの見込みからの大幅増を果たした。


とりわけ、「時かけ」のネット上での情報伝播・人気拡大は、

これを読んでるみなさんの記憶にも新しいことと思う。


こういう例は、世間にいくらでもある。

上の2つは極端な例だが、フツウの人間の目では、
「作品のよしあし」なんてものは、よほど極端なものでなければわからない。
その評価も、「好み」や「風潮」で大きく変わってしまうものなのだ。

そういうとき、売り上げとか、数字とかを決めるのは、
この「話題性」ということになる。



近年の、ニンテンドーDSの売れ筋ラインナップ……とくに、
「脳を鍛えるDSトレーニング」は、
まさにこの「話題性」を利用したものといっていい。


「このゲームが面白かった!」


といっても、世間のおばさん(失礼)たちの興味はひけない。
しかし、


「あたし、まだ脳は20台なのよ!」
「あらやだ、わたし60台!? どういうことよ~」


となれば、話はぜんぜん違うのだ。


井戸端会議の話題になる。雑談のネタになる。
わかりやすくて参加しやすい。
これほど、話のネタにしやすいことはないだろう。


かくして、ゲームの出来とは遠く離れたところで、
大きく数字が動くわけである。ペンペン(*1)



モノを売る上で、この「話題性のコントロール」がいかに重要なことか。
そりゃあ、広告業界が力をもつわけですわ、ホント。



かくして、「クソゲー続き」といわれようとも
某大作シリーズの新作は作られ続け、売れ続けるわけです。



最近登場した「世界樹の迷宮」も、うまくネット上の話題をつかんだようで、何よりです。

こういった問題のブロガーへの影響は、下のコラムが面白くまとめていますので、ご覧ください。


参考:ロケット姉妹(仮)さんのコラム
http://d.hatena.ne.jp/ryouta765/20070202/p1


この話は、販売側にも大きく影響する、という話です。



長くなってしまったので、いったんここで切ります。

……ぜんぜん「ひぐらし」につながらないなあ……(笑)


ここまでをまとめると……ものを売る、特に、その市場の水準を越えて売るためには、
「話題性のコントロール」が必要である、ということです。



(*1)別に脳トレの出来が悪い、とかいってるつもりはありませんからね。
  念のため。この数字を達成した要因が、コンセプトと、その話題性にある、っていう話です。


続きはこちら。

ひぐらしに至る長い話。(2/3)

ひぐらしに至る長い話。(3/3)