未読の方は、前編(1/3)からお読みください。

>>「ひぐらしにいたる長い話(1/3)」はこちら


前編では、「話題性」のコントロールによって、
さまざまなものに「売れる要因」を作り出すことが出来る、という話をしました。

「良ゲーなのに売れなかった」「クソゲーなのにやたら売れた」とかいう現象は、
こういったものに端を発しているといってもいいでしょう。


さて。


小学生、中学生の頃というのは、
ゲームが「話題の中心」である時期があったように思います。
「昔のゲームは面白かった」という声は、

昔からよく聞く言葉でもありますが、

それは、「ゲームそのもの」の面白さに加え、
ゲームが話題の中心であり、
「みんながゲームをやっていて、話のネタになっていた」ことが大きかったと思います。


小中学生において、「ゲーム」が話題の中心になる率の高さ。
それこそが、あのときの、「みんながゲームをやる」っていう感覚を
生み出していたんだと思います。

共通言語としてのゲーム、基本的な話題としてのゲームです。


ところが、学校を出て、成長するにつれ、
だんだんみんなゲームから離れていってしまいます。


ここでお話したいのは、この「ゲーム離れ」とも呼べる現象です。


上に書いたとおり、小中学生のある時期、というのは、
ゲームが話題の中心に位置することが多いはずです。
ですが、年がすすむにつれ、だんだんと状況が変わり、
ゲームをやめるひとが増えていきます。


「他のものにより興味をひかれた人」がぽつぽつ現れ、
「ゲームを話題にする」ことが難しくなり、
「ゲームをやめる」人が加速的に増えていく……。


ゲームが「話題性」を失っていく流れです。
これが、年代による「ゲーム離れ」の背景です。



「他のものに興味をひかれる」ことはやむをえないことです。
こればっかりは、防ぐ方法はありません。
せめて、魅力的な商品をつくりつづけるばかりです。


ただ、ここでよくよく注目してみると、
「ゲーム離れ」する人には、2通りのパターンがあることがわかると思います。


A.「ゲームより興味をひかれるものを見つけた」
B.「みんながゲームをやらなくなり、話題にならなくなったから、やめる」


あわせて、C.「かまわずずっとゲームを続ける層」というのも書いておきましょうか(笑)。


さて、Aは、上に書いたとおり、やむをえない話です。

でも、Bはどうでしょうか?


「もうゲームなんかあんまりなあ……」という人でも、
結構ドラクエの最新作だけはやってたりすることがあります。
ドラクエと、ほかのゲームとの間で、出来やつくりに、
そこまでの差があるとはワタシは思いませんが(*2)、
こと「話題性」という意味では、雲泥の差があります。


そう、話題になり続けるようなゲームなら、

Bのユーザー層はプレイし続けるんです。

いってみれば、Bのユーザー層は浮動票のようなものです。


例えばここで、「ゲームの話ができるコミュニティ」に

Bのユーザー層をとりこむことができたらどうでしょう?

そうすれば、ゲーム離れをある程度以上はとめることができるはずなのです。


インターネット上、ブログ上には、そういったコミュニティはいくらでも存在します。


ゲームを熱心にプレイする層(上でいうCの層)は、

そういったコミュニティにいちはやく気がつき、
そこに参加することで、ゲームを楽しみ続けることが出来ます。

(おそらく、この文章を読んでいるひとは、そうした人たちでしょう)

しかし、なかなかそういうメディアに接しないひとたちはどうでしょうか。


インターネットは、視聴者にある種、「能動的な検索」を要求します。


「ゲームのことについて調べよう」「ゲームの話をしよう」と思わなければ、
そもそも上のようなコミュニティには気が付けないのです。


多くのゲームメーカーのサイトにおいて、掲示板は存在します。
しかし、お世辞にも「にぎわっている」サイトはありません。
ゲームのユーザー数から考えて、著しく小さなコミュニティが存在するのみです。


つまり、現在、ゲームメーカーは、
この段階でのコミュニティへの取り込みに失敗しているのです



……長くなりましたので、ここでまた、いったんまとめます。


★ ものを売るためには、「話題性のコントロール」が重要
★ ゲームが話題の中心になる小中学生の頃は、放っておいても、ゲームは売れる
★ しかし、年がすすむにつれ、ほかの金の使いどころが出てくるため、
  ゲームをやらない人が増える → ゲームが話題になりにくくなる

★ 結果として、ゲーム離れが起きる


本来なら、この時点での「ゲーム離れの防止」は、
ゲームメーカーが率先して行うべき行為です。


ところが、現時点ではゲームメーカー各社は、これに苦戦しています。

能動的にプレイし続けているゲーマーは囲い込んでいても、
話題性のみでプレイするユーザーを引き込むことには成功しているとは言えません。

実際に、それを話題に出来るコミュニティがあるのに、
ユーザーをそこに引き込むことには成功していないのです。


……以下、次回に続きます。まだひぐらしの話が出てこないなあ……。



(*2)まあ、あるんですが。「話題性」分野での差に比べたら小さい、ってことでひとつ。


続きはこちら。

ひぐらしに至る長い話。(3/3)