プロレスのような台湾国会が、嫌いではありません | 台南在住日記とか

台南在住日記とか

Made in Taiwan, Live in Taiwan.

 プロレスについてまったくわかりませんが、すべては演技だといわれていますよね。

 

 台湾の国会でも、衝突などはすべて演技だといわれていますから、意外とプロレスに似ているかもしれませんが、私は最近、これこそ健全かもって、思い始めました。

 

 

 まずは、先日の国会権力の不当拡大法案についてのエピソードですが、

 

 台湾の大事件なので、二回目の会議が始まる前から、大勢のマスコミが現場で生中継していましたが、与党の議員が野党の議員と普通に喋っているシーンが見えました。

 

 そして、両方ともに国会の会議室に「民主は死んだ!」「不当権力拡大を反対!」「国会は改革すべき!」などたくさんのポスターを貼っていますが、与党のポスターが野党のポスターの邪魔になりましたから、野党の議員が「ポスターの位置を調整させてもいい?」って与党の議員に伝えたら、「OK!」と言われました。

 

 了承を得ると、二人の野党の議員が、丁寧に与党のポスターの位置を調整して、貼りなおしました。そして、与党からも「ありがとう!」と感謝されました

 

 

 後は、与党の議員は、お菓子やバナナを会議室に持ち込んだので、野党の議員がバナナをもらってから、嬉しそうに仲間に「もらったよ」って自慢したシーンもありました。

 

 

 さらに、野党の議員は、自分の選挙区の農産物であるグアバを持ち込んで、「おいしいですよ」ってみんなに分けてから、与党の議員も選挙区の農産物製品である梅パウダーを出して「どうぞ使ってください」って。(台湾では梅パウダーをグアバに付ける食文化があります)

 

 そして、両方の議員は梅パウダーとグアバをもって「おいしい」と言いながら、写真を一緒にとりました

 

 

 一見、普通ですが、

 そのすべては、激しい衝突シーンに挟まって起こったエピソード。

 

 

 この両面性が結構嫌われていますが、よく考えてみたら、両面性をもっているこそ、健全だと思いますね。

 

 国民に選ばれた政治家は、個人ではなく、選挙区の総意として行動すべき

 

 「実はこの法案が好き/嫌いけど、私を選んだ国民が嫌い/好きな法案だから、却下/通過するように全力を尽くす。」

 

 

 さらに、すべての法案が与党v.s野党の感じで進めるわけではありませんね。

 

 例えば、台南にメリットがある法案なら、台南の議員が与党でも野党でも賛成するはずだし、その法案を通過するために、台南与党+野党v.s他の県市の与党+野党という態勢になりますから、やっぱり演技が必要ですね。

 

 そうしないと、精神衛生上良くないと思います。

 

 

 実は、国会権力の不当拡大法案については、与党の議員がこう言いました

 

 「憲法裁判所に任せて却下する手段がありますが、やっぱり国民の意向を確認しておきたいので、わざとケンカを売って国民の関心を喚起したのです。」

 

 

 確かに、本気でこの法案を確認するきっかけは、国会の衝突でした。

 

 そして、骨は大丈夫?って心配してしまうほど50代の議員が必死に走っているシーンだからこそ、状況の厳しさを感じました

 

 

 ということで、このプロレスのようなやり方が、実は悪くないと思います。