私は自分のことに対して主張が強いタイプで、主張が強い担当者なら困ると思いますから、担当者を決める前に、まずはたくさんの不動産会社へ行って、面談という感じで理想的な担当者を探していました。
結局、選んだのは、ベテランさんと新人さん。もちろん、違う会社の方ですね。
7600万円という販売価格って、あの頃から見ては高すぎるのでしたが、ベテランさんは「では、8000万の販売価格を設定しましょう」と言いました。
「えっ?でも、他の業者とは7600万円という販売価格の契約をしましたが、そうすれば、同じ物件なのに、ベテランさんの方が高いのは、ベテランさんにとって不利ですよね?これで大丈夫ですか?」
「平気ですよ。そちらに有利なので、文句はないはずだと思いますが。」
ベテランさんは販売価格以外のことなら、すべて私たちの需要に沿って頑張ってくれる姿勢を見せてくれたし、そのまま契約を締結しました。
そして、ベテランさんは2人目の担当者で、最初に決めたのは新人さんでした。
私は不動産を売却するのが初めてなので、いきなりたくさんの専門家たちと接触するのはやや怖いですから、新人さんと一緒に時間をかけて、不動産業界のルールを学んで、自分の判断によって販売するつもりです。
それに、未熟な新人であれば、トリックを使っても見破りやすいでしょう?
契約の中には「販売価格」、「最低限の販売価格(買い手の予算は最低限の販売価格より高ければ、売り手の同意を得なくても、取引が成立)」を明記するので、台湾では「担当者が実際に物件を見てから、売り手と合理的な価格を相談してから契約をする」のが普通です。
新人さんが実際に元の家に来てくれたあの日、店長さんも一緒に来てくれました。
笑顔が素敵な方でしたが、
「立地があまりよくないですね。」
「狭いので、現地人ならたぶん……」
などなど、元の家の欠点を教えてくれました。
欠点を教えてくれるのはありがたいですが、その「欠点」っておかしかったです。
元の家を買う前に、3年くらいかけてそのあたりのすべての新築物件を見学して、立地、欠点などのリストをまとめて分析していていたので、よくわかっています。
立地なら、人の需要によって違いますが、「狭い」というなら、あり得ません。
なぜなら、元の家が新築物件として販売していた頃には、売りにしているのはこの時代に珍しい広さでした。安い価格で買えたのは、近くには大きい廃墟があったからです。
20年前の新築物件でしたが、持ち主と不動産会社の間のトラブルで、長年の訴訟で巨大な廃墟になってしまいました。
前を通るだけで不安する怖い廃墟でしたから、その近くの新築物件の価格がなかなか上がらなかったです。
でも、ちょうど私はマイハウスを探している期間に、訴訟が徹底的に終わりましたから、巨大の廃墟がすぐに解体されて新築住宅の工事現場になりました。
そのあたりの不動産価格も解放されたように上がり始めました。
私は、廃墟が解体された直後に元の家を買ったので、不動産価格が上がる前の値段で手に入れました。
ということで、元の家を「狭い」というなら、築年数が10年以内の現地住宅の中に、「広い」と言えるのは豪邸しかありません。
だから、冷静に考えると、店長さんは既に売り手の販売価格を引き下げるトリックを仕掛け始めたことがわかりました。
「私をなめないでください!」という感じで反論する方もいると思いますが、経験が足りないので、相槌を打ちながら、反論したほうがいいかなぁ?って悩みました。
そして、店長さんのトリックはどんどんレベルアップして、「ご理想の販売価格で頑張ってみますが、でもご存知のように、この価格が納得できる方はあまりいませんね。だから、もし誰も見学してくれないなら、販売価格を調整してみましょうね。」って顔をしかめてこのようなセリフを何回も言いました。
「そうですね。」
なんか、これからは店長さんのトリックを対応しなければならない予感がしますから、とても悩みました。
「じゃあ、もし店長さんのお客さんたちはみんなこの販売価格が納得できないなら、いつでも契約を解除する権利をもっていますよね?」
「えっ?どうして契約を解除するまでですか?」店長さんは明らかにびっくりしました。
「どうせ買い手たちと合意に達することができないなら、売りません。いつか、誰でもこの価格が納得できる時代になったら売ればいいです。」
それを見て、店長さんはどう考えているかどうかわかりませんが、せめて、その直後、そして元の家を売却している期間に、一度も「価格はちょっと......」と言われたことがありません。
とても、シンプルで居心地いい販売体験でした。
担当者を決めても、情報収集のためにたくさんの不動産関係者に会ったおかげで、ようやく店長さんの激しい変化の理由がわかりました。
一般人の売り手たちは「売れないとどうする?」「誰も来ないとどうする?」のように、速く売ってほしい態度を取るのが普通ですが、タイミングを計って、理想的な価格で売るのは不動産投資家。
不動産業者にとって、不動産投資家というのは長く付き合いたい対象ですから、余計なトリックをあまり使わないらしいです。
おそらく、不動産投資家の初心者だと思われたかもしれませんね。
でも、「いつか、誰でもこの価格が納得できる時代になったら売ればいいです。」と言えたのは、実はその時点にまだあまり知られていない情報を持っていて、「誰でもこの価格が納得できる時代」がすぐに来ることを知っていますから。
決して、不動産投資家のように余裕をもっているからではありません。
to be continued