豹様に促され、近くにある山荘で休むように言われたが、こんな状態の紅ひとりを残して行くことなどできない。姉様方も同じ気持ちのようで、少し離れてじっと待った。
1時間ほど経って豹様が身軽く戻ってきた。
そして何も言わずに紅の方へ右手を押し出すと、紅はふっと消えてしまった。いたはずの場所にグリーンの光の粉がちらちらと舞う。
『参るが良い』
豹様はそれだけ言って、再び山荘へ向かった。
山荘の脇には大きな一本杉が玄関の目印のように立っている。
谷川からの水音もまだ聞こえるほどの距離にあるその山荘は、入ってみると誰かが生活している空気が漂っていた。
紅の眠っている気配をたどっていくと、和室――
布団に寝かされて目を閉じているその顔が、土気色に沈んで見える・・・
枕元に座り込んでのぞき込んだ。
一体何が起こっているの・・・?
あなたは何も言わないで、こんなになって・・・
触れると起こしてしまうかもしれないと、何もできないまま見ていたら涙が出てきた。
ぽろぽろこぼれてきたから、あなたが目を少し開いたような気がしたのは、見間違いかもしれない・・・