ついてゆく必要などなかった。
次の瞬間にはまったく見知らぬ場所に出ていた。場所は天仙京から出てはいない。北嶺区の端と視えた。湖が見える。
『まずはここじゃ。守り石を出してたもれ』
豹様はあくまでも事務的で余計なことは一切言わない。
どれくらいの大きさで出せばいいんだろう・・・?
そう思いながら、でも自分にはもう大きいものは出せない――と半ばなげやりに右手を開く・・・しかし、少し集中しただけでみるみる石は大きくなってゆく・・・どうして?
『天域の力をもらっているのよ』
緑子姉ちゃんが教えてくれた。 だから急に力が使いやすくなっていたんだ・・・!
合点がいったけど、姉ちゃん達は手のひらに載るほどの大きさにして、もう豹様に手渡してる。俺のはまだそこまで大きくない・・・やっぱり息切れがしてきた・・・!
でもあと少し集中すればそれくらいの大きさだ。がんばろう。
なんとか大きさを揃えた俺は安心して豹様に渡そうとした。すると踏み出した足が、かくんと萎えた・・・力が入らない・・・
慌てて姉ちゃん達が支えてくれた。
豹様はそれを見て、
『ふむ。その様子では1日1つが関の山じゃのう・・・』
と無表情で呟いた。
契約の儀とは、天域の各地に三宮の守り石を埋め込むこと・・・
そしてそれは、命を削ること。