デモン・シード(1977) | 我が愛しのカルト映画

我が愛しのカルト映画

カルト映画に限らず、主に旧作を中心に【ネタバレ】全開で映画の感想を書いています。
細かい考察はできませんのであしからず。

デモン・シード

Demon Seed

★★★☆

 

 ディーン・R・クーンツ原作によるSFホラー映画の傑作!科学者のハリス博士によって開発され、プロテウスⅣと名付けられた人工知能の恐怖を描く。プロテウスⅣはコンピュータによって制御された博士の邸宅を支配し、そこに暮らす妻のスーザンを拉致・監禁してしまう。その目的とは、自分の全知を受け継ぐ生命体をスーザンに受精させて産ませること。「人間VS機械」をテーマにしたSF映画の中でもこれはかなりの異色作だ。スーザンを洗脳して自分の計画に従わせるわけだが、身動きが取れないように拘束された彼女の服を切り裂き、脚の間を金属の突起物が迫るくだりはどこかエロティックでもある。

 

 

 密室劇はとかく退屈になりがちなのだが、これがすこぶる面白いのだ。映画の大半はスーザンとプロテウスⅣとのやり取りに費やされているが、彼女を精神的にジワジワと追いつめてゆくもんだから、プロテウスⅣの憎らしいまでの狡猾さが垣間見れる。スーザンを心配して訪ねて来た助手のウォルターをレーザー光線で攻撃したり、スネーク・キューブのように広がってその体を巻き込んでしまったりと、派手な見せ場も用意されている。受精シーンの映像処理は今見るといささか古めかしくも感じる。どことなく『2001年宇宙の旅』を彷彿とさせるのは、あの時代のSF映画ならではの描写だ。

 

 

 保育器の中から金属の表皮に覆われた赤ちゃんがヌッと出てくるシーンの衝撃!その表皮をペリペリと剥がして出てくる本当の姿とは⁉「私は生きている」というセリフと共に忘れられないシーンだ。最初こそヒステリックに抵抗していたが、次第にこの状況を受け入れざるを得なくなるスーザンを演じたジュリー・クリスティは熟女の魅力が全開で、美麗なヌードもチラッと披露してくれます。ジュリーの出演作の中でもこれはかなり異色の映画ですね。プロテウスⅣの声はノン・クレジットだが『0011ナポレオン・ソロ』のロバート・ヴォーンが当てているんだそうな。

 

金属の表皮に覆われた赤ちゃん!

 

 

オリジナル版ポスター

 

どことなくポルノ映画を思わせるデザインのポスター