ハリウッド・ブルーバード(1976) | 我が愛しのカルト映画

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細かい考察はできませんのであしからず。

ハリウッド・ブルーバード

Hollywood Boulevard

★★★☆

 

 

 

 インディアナから女優を夢見てハリウッドへとやって来たキャンディ。エージェントの紹介で行った先のミラクル・ピクチャーズはC級映画を専門に手掛ける弱小映画会社だった!ハリウッドといってもメジャー大作ばかりなわけじゃない。ドライブイン・シアターでかけるようなしょーもない映画だってあるのだ。彼女は言われるがままに危険なスタントに挑み、その度胸を買われて今度はフィリピンで撮影する戦争映画に出演することになる。どうやら看板女優のメアリーは、自分の地位を脅かしかねない新しく入って来た若手女優の台頭が面白くないようなのだ。

 

 

 ロジャー・コーマンの元で予告編作成を手掛けていたジョー・ダンテと同僚のアラン・アーカッシュが共同で監督を務めたこの映画は、コーマン率いるニューワールド・ピクチャーズがいままで製作した映画のフッテージを切り貼りして使用し、1本の映画として仕上げている。ハリウッドの裏街道を行く映画会社らしく全体的にうらぶれた安っぽさが漂うが、それでいて映画愛に溢れたとても魅力ある作品。劇中で映画監督を演じたポール・バーテルは『デス・レース2000年』の監督でもあり、ダンテ監督とは次の『ピラニア』でもコンビを組む人物。看板女優のメアリーを演じたメアリー・ウォロノフもコーマン関連作品ではお馴染みの女優さんだ。こんな一癖も二癖もある連中がいい加減な仕事っぷりながらも、なんとか映画を完成させようと奮闘する姿は微笑ましくもある。

 

 

 撮影中に若手女優が次々と怪死する事件が起こり、映画はドタバタしたコメディから次第にミステリーへと転じてゆく。よくあるハリウッド内幕モノに絡めた作りを意識していたのだろうか。キャンディも命を狙われるが、果たして犯人の正体は...?無駄にヌードがいっぱい出てきたりするけれど、観客の興味はドラマなんかにあるわけじゃない。オッパイとケツとカーアクションと銃撃戦。そして、派手な爆発と怪獣が出てりゃいいんだよ!というどこが自虐的なところが笑える。

 

IMDbによれば使用されたフッテージは以下の映画からのようです。

『残酷女刑務所』(1971)

『女体拷問鬼看守パム』(1971)

『残虐全裸女刑務所』(1972)

『女刑務所・白昼の暴動』(1974)

『ビッグ・バッド・ママ』(1974)

『デス・レース2000年』(1975)

 

 先頃亡くなったダンテ作品の常連俳優のディック・ミラー。自身が出演した『古城の亡霊』をドライブイン・シアターで観ているシーンは今となってはちょっと感慨深いもんがありますね。「いい演技してるだろ?」って言うところなんか特に。