ザ・マペッツ | 我が愛しのカルト映画

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カルト映画に限らず、主に旧作を中心に【ネタバレ】全開で映画の感想を書いています。
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ザ・マペッツ

The Muppets

 

 AXNの番組表を何気に眺めていたら「ザ・マペッツ」の文字が目に入ってきて、最近、復活した映画版のことかと思ってたら、なんと最新のTVシリーズらしい。で、早速、観てみたんだが、これが面白くってハマってしまった。ひと昔前に日本でも「マペット・ショー」が放映していたらしいけど、俺は観たことがない。というか、日本人だったら断然、「セサミ・ストリート」だろうが。エルモやクッキーモンスターの方がずっと知名度が上だろうよ。と、そんなナメた気分で観ていたのだが、どちらかと言えば大人向けの作りになっていて、TV業界の内幕モノ的な面白さがある。

 

 そんなわけで、往年の「マペット・ショー」がどういう内容の番組だったのかは知らないが、この「ザ・マペッツ」は、ミス・ピギーが司会を務める生放送のTV番組「ミス・ピギーと夜更かし」の舞台裏をメインとして、ドキュメンタリー・タッチで描いているのだ。実際、ドキュメンタリー番組の制作スタッフのインタビューに答えている映像が挟まれていて、カーミットやフォジーの心情や気苦労がそこで語られる。カーミットは番組のプロデューサーで、ひと癖もあるスタッフやキャストを取りまとめ、TV局のCEOやスポンサーの顔色を窺いながら忙しい日々を過ごしているのだ。かつては恋人だったミス・ピギーとは別れちゃったみたいだけど、彼の新しい恋人もブタさんなのだ。てことは、カーミットはぽっちゃりさんが好みなのか?

 

 およそ表情に乏しいと思われがちなマペットだけど、カーミットが何を思い、考えているのか、その微妙な変化が見て取れるのだ。物憂げで悲しそうな顔をしたり、何か画期的なアイデアがひらめいたときとか、それが伝わってくる。これはすごいことだよ。この世界は人間とマペットが共存していて、人間たちの間を彼ら(マペット)がチョコマカと動き回っていると、本当にこういう連中がいるんじゃないかってな錯覚をおこしそうなくらい。常識的なのはカーミットぐらいなもんで、他の連中は遊んでばかりだったり、プライベートを職場に持ち込んだりで現場はてんやわんや。おまけにミス・ピギーは大スターのためわがまま放題。カーミットの苦労には同情するが、持ち前の機転でトラブルを解決してゆく彼は理想的な人物(カエル?)だ。誰よりもスタッフ、キャスト、そして番組を愛しているがゆえなんだろうな。そんなカーミットを視聴者もまた好きになる。ジム・ヘンソンが遺したマペットがこういう形で生まれ変わったことで、このTV番組を企画した人たちのマペット愛も感じられるのだ。

 
 カーミットの甥っ子のロビンが訪ねてきて気を遣うエピソードと、ミス・ピギーのシッポがポロリしたことで大騒動が起こるエピソードが好き。ミス・ピギーの付き人(?)のデッドリー、ああ見えていい人だぁ。カーミットのがこの番組でも「レインボー・コネクション」を歌うシーンがある。これはカーペンターズも歌った名曲です!