ブルース・ブラザース (1980) | 我が愛しのカルト映画

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細かい考察はできませんのであしからず。

ブルース・ブラザース

The Blues Brothers

Director: John Landis

★★★★★

 

 「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」が生んだ黒づくめの2人組。ジェイクとエルウッドの兄弟が税金の未払いのため閉鎖の危機にある生まれ育った孤児院を救うために、堅気として暮らすかつてのバンド仲間を集めてコンサートを開くというお話。製作された時代が1980年ということで、当時の音楽シーンはディスコがひと段落して、ニュー・ウェーブが台頭し始めた頃。そんな時代にブルースを要とした映画が作られたことに意味がある。この映画のちょっと前にブルース・ブラザースがリリースしたアルバムが全米NO.1になったことで企画にGOサインが出たってのもあるんだろうが、若い世代へのブルースやR&Bの素晴らしさを知らしめる意味も込められているんじゃないかと思う。

 

 

 劇中に、ソウル・フード店で働くかつてのバンド仲間をジェイクたちが誘いにいくシーンのちょっと前に、ブルース界の大御所、ジョン・リー・フッカーの演奏がほぼノーカットで収められている。シーンの流れでは必要ないかもしれないが、ジィさんがカッコよく歌うその姿は本当にサマになっていて痺れる。これでジョン・リーに興味を持って彼のレコードを探すようなことがあればオルグとしてはまず成功だろう。キャブ・キャロウェイの「ミニー・ザ・ムーチャー」だなんて戦前の曲だろ。おジィちゃんが暴動寸前のコンサート会場を、こんな古い曲で沸かせちゃうんだからたいしたもんだよ。前座としてはこの上なく贅沢だよな。

 

 2人は行く先々でムチャをするもんだから、いろんな連中を敵に回しちゃって、彼らを追っかける人たちが雪だるま式に増えてゆく。警察権力へのおちょくりも、相当に意地が悪い。たった2人のためにSWATや軍隊まで出動させちゃうんだから。彼らにコケにされたカントリー・バンドもいい迷惑だがろうが。ソウル・ミュージックに理解を示さない保守層を小バカにしているところが小気味いいんだよね。スペンサー・デイビス・グループの曲にブーイングを浴びせたお客さんが聞き惚れるカントリー・ミュージックの歌詞の陳腐なことといったら。日本に置き換えれば演歌に涙する人を茶化しているようなもんなのかな。

 

 全編を彩るノリのいい音楽ももちろんだが、カーアクションの迫力も見どころだ。追跡中のパトカーが次々と重なるクラッシュ・シーンは、まるでおもちゃの車が積み重なっているかのようにも見える。それは決してちゃちぃって意味で言ってるんではなくて、本物の車を使ってよくこんなシーンが、しかも街なかで撮れたもんだなぁ、と感心しちゃう。あの車1台につき最低1人はスタントマンが運転してたんだろうから、そう考えると相当な人数を動員したことになるぞ。

 

 ほとんどのシーンでサングラスを外さない2人だが、ジェイクは一度だけ外す。彼らの命を狙う謎の女命乞いをするシーンがそれだ。ジェイクは約束をすっぽかした身勝手な言い訳をさんざっぱらまくしたてた後、サッと外すと上目使いで子供のようなつぶらな瞳が。こりゃ、メロメロになるわな。

 

 

  レイ・チャールズの歌に合わせて街の人々が様々なダンスのステップを踏むシーンが圧巻だ。スイム、バード、マッシュポテト、モンキー、ワツジといった具合に。レイが店の壁にコンサートの告知ポスターを上下逆さまにペタッと貼るシーンが堪らなく好きだ。満足そうにニンマリとするレイの笑顔。

 

 

"Briefcase Full of Blues" (1978)

全米NO.1となった1stアルバムにしてライブ盤。エルウッドのブルース・ハープが聴けます。

 

"The Blues Brothers" (1980)

アレサ・フランクリンやジェームズ・ブラウンの歌も収録されたサントラ盤。

 

日本公開は1981年3月28日だそうな。