「幼稚園」のつづきです。
幼稚園で、娘1号が泣き止ま無くて、泣き疲れて寝てしまった。
帰れないので、迎えに来て下さい と、電話がかかって来た事が、何度かありました。
今思うと、パニックだったのだと思います。
泣いた理由は、ほとんど分からずじまいでした。
娘1号が、うちで捕まえたトカゲを、幼稚園に持って行った日に、泣いた事がありました。
私が迎えに行くと、虫かごのトカゲはいなくなっていました。
朝、元気な男の子達が「欲しい、欲しい」と騒いでいたので、
意に反して、トカゲを誰かにあげる事になってしまい、泣いてしまったのかなと思いました。
今でもそうですが、嫌な事を嫌と言えない、また、上手に説明する事が出来ない人です。
でも、「違う」と言いました。
トカゲは、○君にあげた。
トカゲともっと仲良くして欲しかったのに、○君は逃がしてしまった。
○君が逃がしてしまったから、悲しくて泣いたのね と、聞くと、また「違う」と言います。
トカゲともっと仲良くして欲しかった。
私が、これだけ聞き出すのに ずいぶん時間がかかりましたから、
新任の先生に、いつもいつも娘1号に寄り添ってもらうのは無理だろうなあ というのが正直な感想でした。
逃がしてしまった事に対しての悲しみではなく、仲良くして欲しかったのに出来なかった悲しみ という、彼女の微妙な感じ方の違い。そこまで分かってもらうのも、無理だろうなあと。
こんな事もありました。
部屋の前の園庭で、娘1号がアリの動きを眺めていました。
部屋から出て来た元気な男の子が、「アリンコなんかこうしてやるー」と言いながら、
アリを踏みつけて、園庭に遊びに行ってしまいました。
しばらくして、しゃがんだ娘が 声を殺して泣いているのが分かりました。
「アリさん死んじゃって、可哀想だね。お墓を作ってあげようね。」
死んだアリを砂に埋めて、気持ちを切り替える事が出来ました。
この時は、たまたま私が傍で見ていたので、娘の気持ちに気付く事が出来ましたが、
泣いている娘を発見しても、どうして泣いているのか話せない状態になってしまっていたら、
分からないままで終わってしまっていたでしょう。
こういう事が、時々あったんだろうなと想像できます。
また、私はこの時、アリを踏んづけて殺した男の子に対して、怒りを抱きましたが、
娘は男の子に対して怒っているようではありませんでした。
「タラバガニ」につづく。