『からゆきさん』
髪を切りにいった。
レゲェ調のおされなお店でスタッフの女の子達の平均年齢も20台半ばくらいと若く、地元でも若い子にはワリと有名なお店である。
そんなところに30過ぎのオッサンがなぜ行くかと言うとまぁオーナーのHちゃんが友達だというだけなのだが^^;
夕方にいった為、これから“ご出勤”なのであろうキャバなお嬢さんたちが髪を作りにきており、
『ごめーん、この子たちの髪、先に作っちゃっていい?!』というので本を読みながら待つことに。 その間、髪を作りながらの会話が聞こえてくるのだが、 彼氏がいないことにして現在カモってる客に先日、彼氏がいることがバレそうになり危うかった話をしたり、
「○○さんおととい給料日だったはずだから、呼び出してカネ使わそ!!」と緻密な計画を練り始めたりと、
舞台裏、とくと拝見させてもらったぞ!!(笑)
実はその時自分が読んでいた本は『からゆきさん』だった。
明治から大正初期にかけて貧しい農村漁村では、口減らしは親孝行、という論理から少女たちの意思を無視して売買することがおおやけに認められていた。その中には密航業者の手に渡り、海外に売り飛ばされる少女もたくさんいたという。からゆきさんだ。
自分はシンガポールへ行くと必ず日本人墓地へ献花をしに行くのだが、そういえばからゆきさんのお墓もけっこうあったな。。
(お墓すらない人のほうが圧倒的に多いのだろうけど…)
無邪気に客からお金を巻き上げる話をしているこの現代のお嬢さんたちの会話を聞きながら、生殺与奪まで握られ“物”として売り買いされた100年前の日本の少女たちのことを思った。
“人身売買”、これはけして過去の話ではない。現在も世界中のそこかしこで行われている。
自分がネパールに住んでいた時も、週末はニュースの終わりに、
~今週の行方不明者~
というタイトルとともに、行方不明になった女の子たちの顔写真と名前、出身地が紹介されるコーナーがあった。大体、毎回20名くらいだったと思う。(全体では年間7,000名も行方不明になっているらしい)
インドに売られた場合、年をとったり、病気になったりして商品としての利用価値が無くなるか、命がけで逃げるかしか自由になる道はない。もっともいざ自由になってもいまさら行くあてなどない者がほとんどで、またその半数以上がHIVに感染しているそうだ。
そのあたりは長谷川まり子さんの著書、『少女売買』に詳しいようだが、なんか辛そうなので意図的に読むのを避けてきた。。
ここのところチベ本ばかり続いたが、一通り片付いたら読んでみたいと思う。。