『裏天正記』第2章 7話:訃報と覚悟の再燃  | ゆうがのブログ

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世の中辛いよね。なんで辛いのかその理由がわかれは少しは、楽になるかも。そんなブログです。
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駿府城――春まだ浅き早朝。

城の奥、白布に包まれたその寝所で、徳川家康は静かに息を引き取った。

枕元には、ただ数人の側近と、沈黙を守る服部半蔵の姿。

家康の手は、半ば握ったまま動かず、
その指に僅かに残る熱を、半蔵はゆっくりと取るように手を重ねた。

「……御屋形様、影の戦は、まだ始まったばかりにございます」

その呟きは、誰にも聞こえなかった。

――同じ刻。

南の海。ルソンの密街で、烈馬たちは新たな報せを耳にしていた。

「……家康公、崩御」
その言葉に、市場を歩いていた葛城が足を止める。

「……影の頭(かしら)が、いなくなったか」

誰も言葉を継がない。だが、その沈黙は重かった。

「命の系統は途切れても、意志の糸は切れぬ」

霞の一言に、烈馬が深くうなずいた。

その夜、半蔵は伊賀の山中に戻っていた。

病の知らせが流れるよりも早く、半蔵はすでに駿府を離れ、
ある地図を手に、再び歩き出していた。

目指すは、山陽、四国、九州、そして――“東の果ての港”。

各地に散った古き忍びの家々を巡り、
“草”の第二段――「地中根」の布石を打つためである。

「表が乱れる前に、裏を固める。
 百年、二百年――地に根を張ること、それが最後の盾となろう」

その足取りは老いを感じさせず、
むしろ家康という“影を失った日”から、
彼自身が「闇の将」になったかのようだった。

道すがら、ある旅の男が言った。

「お主、風変わりな旅じゃな……何を探しておる?」

半蔵は言葉少なに答えた。

「……詩を探している。遠くまで届く詩をな」

旅装束に身を包んだその姿は、やがて「松尾芭蕉」と名乗ることになる――
と、後世に語られるかどうかは、誰も知らない。

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📝考察:「家康の死」は、影の戦いの第二幕の始まり


■ 物語上の転換点

徳川家康の死は、表の歴史では政権の安定と幕藩体制の確立に繋がります。
しかし“裏の視点”――すなわち草の視点では、これは最大の支柱を失った瞬間です。

彼の存在こそ、草という組織を“形”にしていたものであり、
それが失われた今、草は“構造”ではなく“思想”として動き始めねばなりません。


■ 半蔵=芭蕉という構想

この章では、半蔵が「地中根」の構築に動き出します。
そして、かつての“戦の忍び”ではなく、“言葉と時間を武器にした者”として歩き出す――
その象徴が「松尾芭蕉」という仮の名です。

  • 詩を口にしながら旅する

  • 各地の情報網を張り、次代の草に布石を残す

  • 日本文化の核に溶け込みつつ、異国への道筋を見据える


■ 次回予告:国内編・幕開け

次章より、物語は一度“国内”へと戻ります。
そこでは、半蔵と宣教師たちとの直接の対決、
また彼の動きに呼応する忍びたちの動員が始まります。

「表の江戸」が平穏を保つ裏で、「影の江戸」が、静かにうごめき始める――。