目的は、ニッカウイスキー蒸留所の見学だ。
ここ余市は、日本のウイスキーの父、竹鶴政孝が、ここにウイスキーの蒸留所を建てたのだ。
余市は、かつて、政孝がウイスキー技術を学ぶ為、留学していたスコットランドと気候が似ていた為、ここに、この蒸留所を建設したのである。
ウイスキーを作っている樽、
ウイスキーが出来るまで、
竹鶴政孝の生い立ち、
政孝が、スコットランド人の妻リタと出会うまでや、日本での生活なんかが展示されていった。
さて、これだけウイスキーを見たからには、やはり飲みたくなるもの。
当時、試飲コーナーもあり、シェリー&スイートというものを頂いた。
上品な甘さ、上品な香り、とにかく上品だった。
試飲サイズだから、小さかったけど、とにかく時間をかけて飲んだ。
こんな上品な酒を、一気に飲むなんて、あまりにも、もったいない。
上品な気持ちで、蒸留をあとにし、時刻は、14時過ぎ。
札幌に向かう電車の発車時刻が、15時なので、どこにも行かず、余市駅のベンチで座って、旅日記を書いていた。
俺の近くで、二人の子供が騒いで、走り回っている。
外国人の子供だ。
お母さんが、布を頭に覆っていた。
どうやらイスラム圏の方らしい。
旅行かな?
イスラムの方なら、酒は、禁止されてるから、蒸留所は、行けないな。
やがて、騒いでた子供の一人が転んだ。
おいおい、せっかくの旅行なのに、ケガしちゃ、つまらないだろ。
まもなく彼ら一家は、タクシーに乗り込んだ。
お父さんが、しきりに
「ヤマモト!ヤマモト!」
と言っていた。
これから山本さんに会いに行くのかな?
さて、俺も、帰りの電車に乗り込んだ。
今夜は、すすきのでウイスキーを飲もう。
電車に揺られながら、そう思った。
旅の目的は、人それぞれ。
酒が目的だったり、山本が目的だったりだ。
旅は、まだまだ続く。