「ほととぎす鳴くや五月のあやめぐさ
(ほととぎすが鳴く五月に咲きほこるあやめ草
そのあやめではないけれど・・)
この春、コノハナノサクヤ姫から受け取った伝言は
「四季の花々を楽しみなさい」という言葉だった。
ソメイヨシノが散ってしまえば、人々は花のことなど忘れてしまう。
遅咲きのヤエザクラにさえ足を止めようとはしない。
私は花には全く疎かったのだが
俳句や短歌を通して、次第に花に興味を持つようになっていった。
「わが恋は 人とる沼の 花菖蒲」
泉鏡花
(私の恋は、泥沼から花あやめをとるようなものだ)
あやめの花は鏡花が焦がれた美しき人妻。
恋の過ちから、
殺めてしまいたいほどに思い詰めたのかもしれない。
ある日、花ごよみというものがあることを知った。
一年中いろんな花が咲いていることに驚いてしまった。
沈丁花、山吹、薊、合歓木、蓮、萩、撫子、金木犀、紫苑、山茶花、柊、万両
密やかに咲いている、しっとり麗しい日本古来の花々。
最近は、植物図鑑を片手に散策するのが楽しみになっている。
いにしえから咲き続けている日本の花を眺めていると
さまざまな句とその佇まいとが重なりあい
厳かな気持ちでいっぱいになる。
風薫る五月
これから初夏の花々が楽しみである。
あやめも知らぬ恋もするかな」
古今集 詠み人しらず
(人は文目もわからなくなるような
激しい恋に身を焦がすものだなあ)