※前回の記事『角交換四間飛車 #2』
朝日杯の決勝トーナメントを二日で消化してしまうとは、
(単なる調整ミスでないとすれば)何とも贅沢な話である。
いつもさらっと明快に全局を総括してみせるショパ…
Strategy先生にはいつも驚嘆の念を禁じ得ない。
だがミジンコ級の棋力を誇る私にはどだい無理な話なので、
ひとまず今回も藤井先生の将棋に集中することにしよう。。
そう思った矢先、準々決勝の敗戦を見て暗い気分になった。
負けること自体は別に構わないのだが…
問題は、藤井先生らしからぬ序盤である。
最近あまり見かけなくなった端歩突きではあるが、
後手が受けてくれるなら最有力の手段になると思っている。
だからこそ…ここで藤井先生が94歩と受けたのには驚いた。
端の詰まった美濃(いわゆる棺桶美濃)に飽きたのだろうか?
今まで藤井先生がどの局面を恐れていたのかは不明だが、
私はひそかにこの局面なんじゃないかと踏んでいる。
銀冠がピッタリ完成してしまうのがいかにも大きい。。
(ちなみにこれも先手番KK4なら起こり得ない事態だ)
ここでいきなり22飛と廻ったところで、
自然に 46歩 44銀 47銀 33桂 36歩と応じられて困る。
飛車交換に出ても21飛が金桂両取りになってしまうし、
一方で後手の27飛には38銀、28飛にも39金の逆先がある。
…そこで?藤井先生は52金左と様子を見た。
しかし36歩と突かれてみると、
状況は大して好転していない(ように見える)。
このタイミングで22飛と廻られても、恐らく46歩で大丈夫。
以下 44銀 47銀 35歩 同歩 同銀 66角 44角 36歩 66角 同歩 44銀 65歩と進めば、
もう後手は暴れる他なく…しかしどう動いても無理気味だ。
(66角に44銀なら38飛。66角に代えて単に38飛もあるかも)
上記の変化は全て私の妄想に過ぎない。唯一の根拠は、
藤井先生が「37銀を強要するために」54角と放った点だ。
後手が仕掛けるまでの手数を考えると、
この角はいかにも不安定である。
66歩に64歩と受けた場合の具体的な咎め方は判らないが…
65歩と突かれてしまった以上、後手にはもう後がない。
結局、後手の飛角銀桂は全て重い形で残ってしまっており…
この図に好んで誘導する振り飛車党はあまりいないと思う。
私は谷川先生を全く応援しない非常に稀な将棋ファンだが、
さすがに終盤の73角を見て「暴発」を疑ったりはしない。
(実に見事で光速な踏み込みだった。たぶん)
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96歩を放置されて33銀と上がられると困るので、
個人的には居飛車から端歩を突く気になれずにいる。
むしろ気になるのは端を突かずに銀冠を目指すパターンだ。
本当に95桂のキズだけで死んでしまうものだろうか?
…本稿は実質『角交換四間飛車 #4』になってしまった。
本当の『#4』が書けるのは何ヵ月先になることやら。。
p.s.('13/01/18)
途中の形勢は後手が良かったものの、
終盤の75桂が敗着だった…という評判みたいですね。
p.s.('14-10-14)
康光-藤井戦(NHK杯)では後手が24歩を突かず、
高美濃完成を急いで位を保ち、45歩を突かせて千日手模様に持ち込んだ。
やはりこの戦型、玉頭位取りなどから一歩を手にしないと打開は容易でないかもしれない。
※次回『角交換向い飛車』
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