病院から出発。
息子は棺に入って運転席側の後部座席にいる、私が座っている助手席の後ろにはチャイルドシートがついてる。本当はこれに乗せるはずだったのに…
最初で最後の親子3人でのドライブ。
何度も振り向きながら私は涙を流した
まともに見るのは辛い…
でも今しかないから焼き付けないと…
車で走ること30分…
火葬場についてしまった…
息子を旦那と2人で運ぶ。
いやだ…行きたくない…離したくない…
そう思いながら重い足は向かっていく。
息子にお経をあげてもらい
私は旦那の次にお線香をあげる。
そして棺の中にたくさんの花を皆で入れた
色とりどりのキレイなお花に息子がどんどんうもれていく…
可愛い両手を義父が合わせるようにして整体師さんがくれた御数珠を両手首にまいた…
あの世に導いてもらえるように…
旦那は
「これで海南人は導いてもらえるね迷子にならないね。」
と私の耳元で言った
私はただ頷くだけしかできなかった
可愛いおてても、可愛いあんよも、全て花で見えなくなって最終的には顔だけしか見えなくなった…
足元には私達3人でのマタニティフォトと息子へ書いた手紙、お菓子を入れた
あまり棺に入れすぎると上手く燃えないと言われたので私達からの物だけ棺に入れ、それ以外は棺の外に置いた
「蓋をしめます。いいですか?」
といわれ、旦那と最後のお別れをしに行った
花に囲まれ寝ているような息子
「かなと………」
私は名前を呼ぶことしか出来なかった。
触れれるとこは頬だけ
ぷくぷくした可愛いほっぺを何度もなでた
最後に母が抱き締めるように息子の顔を両手で触れた。
フタを2人で閉め2人で窯の前まで運ぶ
棺を乗せる場所は勿論子供用じゃないから大きい…息子の棺がポツンと乗っていた
係りの人が息子の棺を押して窯の中に入れた
もう本当に最後だ……
私は声にならない叫びをあげた
旦那は手を強く握りながら
「ちゃんと言ってあげた?もう最後だから言いたい事があるなら言ってあげな」
と……
私は名前を叫び…
ごめんねと叫んだ
それしか言えなかった
そして…
無惨にも扉が閉まった……
重く冷たそうな扉が
私の気持ちを待たずに閉まった…
手を強く握り合い震えるほど泣き叫ぶ
火がつく音がすぐに聞こえた…
「燃えちゃった…かなとが…かなとが…燃えちゃった」と叫んだ。
私は立ち尽くして窯の扉をずっと見ていた…扉の奥からは燃えるようなボイラーの音が聞こえる。
動けずにいると義父か待合室に行こうと言ってきた。旦那は
「行く?それとも見てる?」
「イヤ……見たくない」と呆然としながら呟き旦那に手を引かれながら外に出た…
目の前に兄夫婦と母と姉がいた、兄はすぐに帰ると聞いてたから挨拶にきたんだと思ってお礼を言おうとしたら
兄嫁が泣きながら抱き締めてくれた。
私は堪えきれずしばらく泣きさけんだ…
「ちーちゃんは悪くないよ」繰り返し言ってくれた…
兄も泣きながら私を抱き締めてくれた。
次に兄はボーッと窯を見てる旦那に握手を求め旦那を抱き締めた。
旦那はその時初めて兄の腕の中で糸が切れたように泣き出した。兄があの時抱き締めてくれなかったら旦那の苦しみが私は理解してあげれなかったんだろうな…
兄夫婦を見送り
私達は見つめ合った
自然と抱き締め合い2人でしばらく泣いた、私は旦那にごめんねと言った。
旦那は「ちはるは悪くないよ、かなとを会わせてくれたじゃん。かなとは戻ってくるよ」と頭をなで強く抱き締め言ってくれた。
「待合室行く?」私は首を振った
「じゃぁ煙見る?海南人を見送る?」と旦那に言われ私は頷き2人で煙突を探した。今は煙を出さない所が多いらしく煙は見れなかった。
1時間後…
窯から出てきた…
骨は頭蓋骨はわからなかったけど小さい骨がたくさんあった。しっかりとした足の骨や肋骨背骨もあって分骨用の骨壺に義父が教えてくれながらたくさん入れてくれた。
息子は水子だからと2人でなく1人1人で骨を拾った。
骨壺に全ての拾える骨を入れてくれて白い布で包み旦那は喪主として皆に挨拶をした。
私は来てくれた親族にお礼を言い頭を下げ帰って行くのを見送った。
何時間前までは3キロ以上の重みがあった我が子…朝までは抱けてたのに…
本当にこれは現実なんだろうか…
何だかよくわからないまま家に帰った
増えるはずの家族はいない。
2人のままで私達は帰った…
私の妊娠が終わってしまった。
小雨が降る少し涼しい午後だった。
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