第五章 市ヶ谷(3)
【 十三号扉 】②
5年前、香港のビデオショップにて
これが現実
日清戦争に勝った
日露戦争に勝った
その勢いでとうとう韓国を日本にしてしまった。
せめてこのあたりでやめておけばよかったんですが、調子に乗って満州国作って中国本土まで手を出したんですね。
満州がすんなり手に入ったもんだから中国にも手を出した。
欧米諸国は警戒します。
中国では抗日運動が高まります。
そこでABCD包囲網が敷かれました。
Aはアメリカ、Bはイギリス、Cは中国、Dはオランダ。
日本に対して石油や屑鉄の輸出を禁止、今で言う経済制裁です。
石油の輸入が止まれば飛行機も飛ばせない、戦艦も動かない、屑鉄が入ってこなければ武器や飛行機、戦車、戦艦が作れなくなる。
だから欧米の植民地である東南アジアで資源確保して、憎っくき「鬼畜米英」をやっつけるんだ、ってことで始めたのが太平洋戦争です。
名目は「東亜の解放」。
つまり欧米に植民地にされて搾取に苦しんでいる東南アジアの「同胞」たちを欧米の支配から解放して独立させるのだ! 大東亜共栄圏を作るのです!
というまことに壮大な大義名分です。
ちなみに太平洋戦争と同義で使われる「大東亜戦争」という言葉がありますが、これはこの大義名分に由来していて、太平洋戦争勃発時に東條内閣が日中戦争も含めて「大東亜戦争」と呼ぶことを閣議決定したものです。
しかし一部誤解甚だしい方は「東亜(=東南アジア)の国々は日本によって欧米の支配から解放され、日本に感謝しているので大東亜戦争と呼ばねばならない」という主張をされています。
そんな主張をしたところで得られるものは何もありません。
東京裁判というのはこの日中戦争に先立つ満州事変から太平洋戦争が終わるまで期間の主要な軍指導者と政治家を「戦犯」として裁いたものなんですね。