第五章 市ヶ谷(2)
【 三光坂 】④
日暮吉延『東京裁判』
ここで、僕が東京裁判に関する知識の多くを依存し、信頼している二冊の本だけは紹介しておきたいと思います。
他の書籍のように、東京裁判を肯定する・否定するというお決まりのパターンではなくて、極めて客観的な視点から被告が裁かれるまでの経緯を分析しているので、東京裁判を詳しくお知りになりたい方、政治家や評論家が東京裁判について語っていることが事実かどうか確認したい方にとっては大変参考になるのではないかと思います。
・日暮吉延『東京裁判』講談社 2009年
・牛村圭・日暮吉延『東京裁判を正しく読む』文春新書 2008年
正直、初めて東京裁判に触れる方にはちょっと難しいと思いますが、これから展開する東京裁判についての論点はこの二冊からの引用を交えてお話ししていこうと思います。
最初に、東京裁判を国としてどう考えているのか、政府の公式見解はどうなのか、ということをあらかじめはっきりしておくことが必要です。これを踏まえておくことがあとでお話しするさまざまな論点を解いていくカギとなりますので、ここだけは押さえていただきたいと思います。
東京裁判が閉廷したのが1948年11月12日。サンフランシスコ講和条約で日本が主権を回復したのが1952年9月8日です。
この日本が署名したサンフランシスコ講和条約の一一条は東京裁判についてこう規定しています。(『』筆者)
日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の
『裁判』を受諾し…
さて
どこが問題なんでしょうか...