第四章 沖縄の海(3)
【 洗脳と強制 】⑥
彼の同期・余呉さんの著書「心の砂漠」
動画の内容から少し離れてみましょう。
余呉勝幸さんは彼と東航(東京陸軍少年飛行兵学校)の同期。
東航卒業後後、陸軍熊谷飛行学校、陸軍熊谷飛行学校新田教育隊で訓練を積み第二三教育飛行隊へ配属、
下関から船で朝鮮半島にわたり、満州最南端・綏中へ、そして白城子へ移動…
彼と全く同じ道を辿った方です。
余呉さんは最終的に「戦闘」部隊に配属となったため、特攻隊の一員として選ばれることはありませんでしたが、余呉さんが2002年に出版された戦時中の回顧録「心の砂漠」には次のようなくだりがあります。
春まだ浅い肌寒い夜のこと、珍しく週番士官の点呼があって、沖縄戦の戦況についての話があった。
すでに台湾も連合軍に占領され、今矛先が沖縄に向けられ、今にも本島に上陸しようとしているところで、日本にとって沖縄は生命線であり、必死の戦闘をしている。
もし占領でもされれば、「本土決戦」は間違いないことで、何が何でもこの沖縄は死 守せねばならず、すでに毎日のように特攻隊が出撃して戦果をあげている様子であるが、我が陸軍としても早く特攻隊を編成をし、出撃しようとしている模様である
……との話であった。
その話をきいたわれわれは、全員誰に相談することなく士官室に行き、「特攻志願」の申し出をした。
と...