次世代への伝言 #101 第四章 沖縄の海(3) 洗脳と強制⑤ | 少年飛行兵 と 私 第二幕〜Thoughts About Peace

少年飛行兵 と 私 第二幕〜Thoughts About Peace

2014年、突然閉鎖したブログ「少年飛行兵と私」
特攻隊員だった「彼」の遺志を確かめた僕は、「少年飛行兵と私 第2幕」として新たな旅を始めます

第四章 沖縄の海(3) 

【 洗脳と強制 】⑤

 

島田さんの手記・「雲の果て遙か」

 

あちこちでささやき合っているみんなの雰囲気も、「熱望」のようだ。躊躇というのではないが、一呼吸そんな雰囲気を感じとり

ながら、「熱望する」と書いて提出した。

 

部屋に戻ってからがまたも賑やか。

 

「俺は”熱望する”と書いた。」

「俺もそうだ。」 

「俺だって熱望だ。」…

 

午後は休養を許されたので、また熱い議論が始まった。

 

  (中略)

 

「部隊命令第〇〇号、第五航空軍司令部の命により、次のものに陸軍特別攻撃隊を命ず!」

 

ピリッとした緊張感と重圧感に、身を硬くして次の言葉を待った。

 

「陸軍少尉 鈴木 …(中略)…  陸軍兵長 島田昌往、同じく牛浜〇〇、おなじく〇〇……」

 

 掛井少尉に続き、「島田昌往」と同僚の一番先に読み上げられた。

瞬間、体中に得体の知れない熱い電流が走り、同時に体全体が硬直するのを覚えた。

 

  (中略)

 

とうとう来た、やったぞ! …いよいよこの俺にも男の中の男として立派にお役に立てる時がきたのだ。

空に戦い空に死する戦士としての本懐だ。

これに過ぐる栄誉はないのだ。

だが、この大任を立派に果たし切ることができるのか。

一瞬不安がかすめるが、「成せば成る」だ、自身にはっきりとそう言い聞かせ決意を新たにする。

 

島田さんがこの本を出版されたのは平成20年。

終戦から63年経っていますから、当時のように検閲があるわけでもないし、言いたいことが自由に言えないというわけでもありません。

誇張する必要もありません。

 

ですから書かれていることは当時島田さんが感じたそのままが文字になっていると思います。