第二章 世田谷へ(3)
【駒繋小学校】④
昭和20年3月27日
武尅隊の戦果と思われる写真
慶良間列島沖・戦艦ネバダ甲板上に横たわる米兵遺体
(米軍資料・沖縄公文書館所蔵)
突入後・戦艦ネバダに残った特攻機の日の丸
後方は武尅隊隊員と思われる特攻隊員の遺体
(だれかは不明 同・沖縄公文書館所蔵)
戦艦ネバダ(BB-36)甲板上
武尅隊隊員と思われる遺体の一部
(加工してあります・沖縄公文書館所蔵)
●二十年三月十八日付 敬夫→母・姉(はがき)
お母さん、お姉さん、お元氣ですか。僕たちも元氣で勉強してをります。
(中略)
今日、學校から歸って来て門を入った時、兵隊さんの飛行機がていくうで目之湯の上空を飛んでいきました。
(中略)
目の湯に泊まってゐる特攻隊の武尅隊の兵隊さんがいよいよ今日、十八日行くことになりました。
僕も兵隊さんたちにつづき、早く大きくなり、海軍航空兵をしぐわんして特攻隊になりたいと思ひます。
ではみな様によろしく、おからだを大切にして下さい。
さよなら。
●二十年三月二十一日付 敬夫→父(はがき)
お父さん、お元氣ですか。僕たちも元氣で勉強してをります。
(中略)
今日は二十一日、春き皇れい祭なので、學校は休みです。
それから、目之湯に泊まってゐる兵隊さんたちが戦地(蠆灣)に行ったのは、六人のうち中尉の隊長どのと清宗といふ少尉の人です。
あと残ってゐる兵隊さんは四人とも少尉で、そのうち一人はせいびの役目です。
それから兵隊さんの名前が分りましたから書きます。
四人の人は、小林、ゆうき、林(注)、伊藤です。
薹灣に行ったのは廣森隊長と清宗少尉どのです。
では皆様によろしく、おからだを大切にして下さい。さよなら。
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(注)林少尉はこのあと廣森隊長・清宗少尉に合流し武尅隊先発部隊として3月27日、慶良間列島沖で敵戦艦に突入している