第一章 ミンスクの青い空(5)
【ミンスクの青い空】⑤
アパート前
三ヶ根山→硫黄島→トビリシのアパートでのできごと
そして
トビリシの空港で強制送還されたこと
まわり回ってミンスクに落ち着いたこと
それは彼と東條からの「早く書け」というメッセージに違いありませんでした
あのときパソコンに残っていたのはわずかな資料だけでした。
必死になって調べ歩いたあの数年間の記憶だけをたよりに、その記録を書き連ねていきます。
資料が足りないゆえに、書き足りないこと、詳しく説明できないことが少なからずありました。
これで僕が伝えたいことがちゃんと伝わるかどうか…。
一日、一日と、ページが積み上がっていく。
それと重なるように、枯れ木同然だった公園の木々にも少しずつ葉が増えていきました。
不思議なことに、自分ではなく誰かがキーを打っているかのようにいつのまにか物語は書き上がっていて、気がつくと街は新緑の空気で溢れて、芝も土を隠すようにびっしり地面を覆っていました。
アパート隣の公園
絵の具で塗ったような青い空の下、色とりどりの花がそこかしこに植えられて、ミンスクの街はまるで絵に描いたような風景。
そんな中で、僕は足掛け五年の作業をこのミンスクで終えることができたわけです。