チャイルドライフスペシャリストという方たちが、外来のビルディングにも入院病棟にも、各フロアーごとにいます。

この人たちの仕事は、子供達が病院での生活になじめるように手助けをしたり、

IVなどを入れる時や検査を受けなくてはいけないときに立ち会ってくれたり、

少しでも子供達が大変な治療を乗り切っていけるようにサポートをしてくれます。

病院はどういうところなのか、これからどういうことを子供達が受けるのか、

ごまかすことなく丁寧に優しく伝えていきます。


子供達が入院すると、すべてその情報が担当スペシャリスト達に届きます。

トーマスの場合は、馴染みのスペシャリストもいたし、トーマスが好きだからと、お気に入りのキャラクターのおもちゃが倉庫に入り次第確保しておいてくれて、

家に帰るときには抱えきれないほどのおもちゃを頂いたり、入院が長引くと部屋に遊びに来てくれたり、必要なもの何かある?とよく顔を出してくれました。本当に良くしていただきました。

でも、年が小さかったせいと彼の性格にもよりますが、やはり、ママとパパが一番で、私達以上にトーマスにとっての励みになる存在はいなく、実際は母親の私の方がチャイルドライフスペシャリスト達に助けていただいたように思います。

(もちろん、スペシャリスト達も親の代わりになるつもりなどなく、それ以外の立場から専門知識と共にサポートするというスタンスです)


トーマスが怖がっているときや、治療に協力的でないときには、その気持ちを理解しているということを伝えてあげて。それでも治療を受けなくてはいけないのだけれども、ママはトーマスの気持ちを分かっていると言うことを教えてあげて。

と、貴重なアドバイスをもらったり。

私の気持ちが弱っているときに、話を聞いてくれたくれたことも多々ありました。病棟の方へいう必要があると判断したときには、私に代わって伝えてくれてるときもあったようです。


もう少し年が上の子達や、ママやパパじゃない方が素直に話せる年代の子たちにはとても貴重な存在だと思います。

また、病院側や現場の人達がスペシャリスト達をリスペクトし、チームとなって働けるような環境作りになっていないと、この領域は育っていくことができにくいと思います。

せっかく知識もあり、情熱もある人たちがただのお手伝いさんのような存在に位置づけられるのはとてももったいないことだと思います。


20日間の放射線治療を終えた日には放射線科からケーキを頂いたトーマス。

ケーキをほおばっている時に、外来病棟からわざわざ大きなプレゼントをもってスペシャリストが会いに来てくれました。

「よく頑張ったね、おめでとう!!」と大きく書いてあった紙袋。こうして逐一

トーマスの動きに目を光らせていてくれてることにも感激です。


関連のある教育を受け、バチュラー、もしくはマスターディグリーを持つ人が

スペシャリストになれる資格となっています。トーマスのお世話になっている

CHLAではインターンのような形で何百時間かのワークをこなした後に正式にスペシャリストとして働ける道が開かれるようです。

この期間の長さは各病院によって違っているとのことです。


セントジュードホスピタル www.stjude.org

名前をきいたことがある方もいらっしゃるかと思います。

この病院はリサーチホスピタルと名づけられてる通り、研究の最先端を進んでいる病院だときいています。

しかも、驚くのが、すべてこの病院の経営は寄付から成り立っているそうです。

フレンズ(古いですが)でおなじみにジェニファーアニストンや数々の有名人が沢山の寄付を寄せています。

ランキングでもセントジュードは一位をよく獲得するほど全米でも小児癌の

(それ以外の難病も扱っています)トップの病院です。

ここの病院が行っているリサーチに参加する資格にあてはまる事が重要ですが、それに当てはまると患者の人種、宗教や治療費を払える能力にかかわらずに治療を受けることができます。

セントジュードから送られてきた資料によると、この病院だけが唯一保険でまかなわれない治療も払う必要がないと書かれています。そして、それ以外の費用についても、支払能力の有無に関わらず、治療を拒否されることがありません。

しかも、交通費用やトリートメント中にメンフィスに住む費用(患者と家族一人)が支給され、食事についてもサポートシステムがあるそうです。

アメリカ中からだけでなく、海外からも患者さんを受け入れています。

もちろん、通訳もきちんとつけてくれ、何十ヶ国語の通訳を用意する準備ができてるそうです。

関係者に聞いた話では、アマゾンの秘境のようなところからの患者さんを受け入れるときには通訳を探すのに苦労した・・・とのことです。

アメリカの大きな病院では、セントジュードに関わらず、どこでも通訳をつけてくれる準備が無料で整っていいると思われます。

セントジュードにかかりたい方のまず第一歩としては、担当医がセントジュードに連絡を取らなくてはいけません。How to Refer a Patient to St. Judeというセクションにのっていますが、医師が通話無料の 1-888-226-4343 に電話をするか、もしくはオンラインでも受け付けているそうです。

海外にを視野に入れて検討されてる方もいらっしゃると思います。海外に場所を移して治療をするということは、大きな決断になるでしょうし、想像しきれないが為の怖さもあると思います。

もちろん、日本も医療の世界では先進国のうちの一つですし、引けを取るとは思いません。しかし、認可されている薬や治療の幅を比べると、検討するだけでも無駄なことではないと思います。

私個人の感想では、治療内容の幅だけに限らず、特に他の細かな面において私はアメリカで治療を受けることができて良かったと思っています。

久しぶりに暑さがぶり返してきたLA.

暑いので、クーラーの効いている部屋から出たくなかった私は、普段しないお昼寝まで子供達としていました。

暑いと文句を言ってるわりにはオーブンでわざわざチョコレートブラウニーを焼いて、子供達と一緒に冷たいミルクと食べてみたり。
けれども、夜ご飯までは作りたくない私。


スペンサーが「今日の夜ごはん何?」ときくので、迷わず「無い」と答えました。

すると、「君がおなかがすく頃に食べる今夜のごはん何?」とまたきくので、思わず笑いながら「ピザ」と答えました。

ピザが届くまでの間に近くのストアでアイスクリームやサラダなどの食料品の買出しに行きました。

行く前に「お財布持った?」ときかれ、「uh-huh」と、当然でしょ。みたいな雰囲気で答えた私。「じゃ、僕は財布もって行かないよ」と言っていたスペンサー。


ショッピングも終わり、大きなカートに山のように積まれた食料品をレジにどんどん手際よく並べていくスペンサー。

そんな彼を横目に私が見たものは・・・。

いや、実際には見えなかったものは・・・・お財布。

バッグに入っていませんでした。

「お財布・・・ない」

さすがのスペンサーも一瞬固まりました。

「バッグ、ずっと持ってた?カートにおきっぱなしになんてしてないよね?」

「してない」

「じゃ、すぐ家に戻って僕のお財布持ってくるよ」

並べた荷物を大急ぎでカートに戻し、家に戻ってお財布を取ってきてくれたスペンサー。

「ごめんねぇ」という私に

「誰しもまちがいをおかすから」と優しく言ってくれたスペンサー。

でもその後に「その頻度が君は人よりもかなり多いだけ」と、笑っていました。

「私は自分みたいな人とは一緒にいられないなぁ」と言う私に

「分かるよ。その気持ち」なんて、サラッと言うので、私も一緒に笑ってしまいました。

移植から約2ヶ月後からこのトライアルを始めるような流れになっています。

と、いうのも極少量のがん細胞が残っている状態で始める事、反対に言えば、大量のがん細胞や体の中に広がってしまっている場合などにはあまり効果が期待できないからなのだと思います。

トーマスの場合は一応100日までが限度ということで、ぎりぎりの99日目か100日目にトライアルに参加することを伝えました。ぎりぎりにまでなってしまった経緯には、このトライアルで一番効果を上げてる病院にいこうと調べていたり、他の病院にセカンドオピニオンを取りにいったりしていたからです。

結果から言えば、トーマスの担当医はこの時点で可能な限りのトリートメントをすべて提示していてくれたし、最高の環境を整えていてくれました。

でも、親の立場からして、それは実際自分で動いて確認しなければ気がすまなかったということでもありました。


この時に学んだことは、セカンドオピニオンというのは治療の可能性をしるだけではなく、改めて息子が進んできた道が、世界中の中を視野に入れても最高のものだったとしる事ができた手立てでもあったということでした。

セカンドオピニオンについてはまた詳しく別記します。


クリニカルトライアルは合計で5回行われるようになっています。

でも、実際は(少なくとも当時は)本当のところ、何回受ければ効果が出るのかというところまでははっきりしていませんでした。と、いうのも3回で効果が十分に出る人もいたり、4回でよかったりと、5回とも完全に受けなければ意味の無い治療というのではなかったからです。

そして、そこにこだわる理由としては、この治療にはかなりの痛みが副作用として伴うからです。

熱も出ましたが、一番こわかったのは痛みです。この痛みをコントロールするために沢山の方たちがトーマスのことを最優先にしてこの治療に取り組んでくださいました。

ナースステーションに近い部屋をトーマスの為に空けてくれて、ペインコントロールチームはもちろん、トーマスの担当医のDr.Aはトーマスの痛みを最小限に絶対とどめると言ってくれて、最新の注意を払い、そして私の言葉一つ一つを真剣に聞いて、取り組んでくれました。


コース1、コース3、とコース5は同じ治療内容です。

この3つのコースはブレイクも含め、それぞれ24日間かけて行われます。


GM-CSFを14日間連続で2時間かけて点滴をするか

もしくは皮下注射で摂取します。

Ch14.18をGM-CSFが始まってから4日目に始め、

点滴で5時間かけて4日間摂取します。

IsotretinoinはGM-CSFが始まってから11日目に飲み始め、

14日間続けます。

Ch14.18の4日間は副作用をコントロールしなければいけないので

入院になります。


コース2とコース4は同じで治療内容です。

この2つのコースはブレイクも含め、それぞれ32日間かけて行われます。


IL-2を点滴で4日間続けて摂取して、3日間空けて、

また4日間連続で切れ間無く摂取します。

Ch14.18は点滴を通して5時間、8日目、9日目、10日目、

11日目と連続して摂取します

IsotretinoinはIL-2が始まって15日目から14日間続けます。

このコース2と4の方が強い治療ということで、コントロールしなければ

いけない副作用の出方も強いです。

もちろん、IL-2とCh14.18のは続けて入院ということで、基本的には

第一日目から大体2週間前後続けての入院となります。


次回は副作用について記します。

トーマスが受けたクリニカルトライアルの名称は以下のとおりです。

Anti-GD2 Antibody with GM-CSF and IL-2

Study Title: ANBL0032


このトライアルは Children's Oncology Group (COG)という国際的なグループに

よって行われており、子供のがんの治療に関わる200ヶ所以上の病院から成り

立っています。

5年間に渡り、すべてのCOGのグループから約430人の患者さんがこの研究に

参加することになります。


この研究には、治験の生物学的療法、ch14.18、モノクローナル抗体を使用します。モノクローナル抗体というのは実験室で作られたたんぱく質で、特定のがん細胞に結びつくようにデザインされています。


ch14.18は神経芽腫の細胞と他のがん細胞に結びつくようになっています。

ch14.18が神経芽腫の細胞に結びついたときに体の免疫が刺激され、神経芽腫の細胞を攻撃して死滅させます。ch14.18は異なったタイプのがん治療で、抗がん剤や放射線治療とは違い、がん細胞だけを狙い、近くにある健康な細胞を壊すことがありません。


GM-CSFはそれぞれの体の中で作られる物質と似ているものです。健康な状態であれば、私達の体は少量のGM-CSFを作り出します。この物質は感染などと戦う白血球を作り出すのを手伝います。

このGM-CSFという物質を体の外で作ることが可能になり、人間の体で作るよりももっと多量のGM-CSFを人間に与える事ができます。

実験室で動物に行われた実験で、GM-CSFがモノクローナル抗体の癌に対する効果を高めることが証明されました。


IL-2 (aldesleukin / アルデスロイキン)も同じく、人間の体の中で作られる物質に似ています。IL-2は白血球が感染と戦うのを助けます。また、体外で作ることが可能であり、大量に人間の体内に投与することができます。IL-2もモノクローナル抗体の効果を高める効果があると実験で証明されました。

COGはIL-2がch14.18の有効性を高める事ができるかの研究を望んでいます。



-以下、続きます。