12月のGoToトラベル活用実績は11月の4割/宿泊者の2/3は1万円以下 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

2月10日に観光庁がGoToトラベルの活用実績を発表しましたので、内容について説明していきます。


月ごとの利用人泊数の推移は下記のとおりです。
7月:214万人
8月:1326万人
9月:1418万人
10月:2206万人
11月:2565万人
12月:1029万人

12月は新型コロナウイルスの感染の拡大により『勝負の3週間』と言われるなど外出抑制の空気があり、GoToトラベル利用者は10月の半分以下、11月の4割程度となり、8月以降で最も少なくなりました過去記事[昨年の勝負の三週間 12月前半のGOTOトラベル活用者は急減] に書いた時点では12月前半(~12月15日まで)の活用者は560万人だったので、12月後半(12月16日~28日)の活用者はさらに減り、469万人だったということになります。このようにGoToトラベル利用者が減少した12月ですが、『確かに12月は8~11月と比較して感染者が少なかったな』と思う人はいないでしょう。
西浦教授のGoTo論文で旅行者の感染者が非旅行者と比較して減少していることが明らかになっており、 活用者の推移と感染拡大の状況からも、GoToトラベルと感染拡大は少なくとも無関係であったことはほぼ確実と言えます。

さて、観光庁の発表でもう一つ興味深いデータがありました。


GoToトラベルでは宿泊料金が一律35%引きになるため高級宿の方が割引額が大きくなり、宿泊料金の安い宿には恩恵が小さいと言われていましたが、宿泊者の2/3は1泊1万円未満の宿に泊まっていたことが明らかになりました。GoToキャンペーンの批判の中に『高級宿に泊まれる富裕層ばかりが得をする』というものがありましたが、富裕層以外もしっかりキャンペーンを活用しており、また宿泊料金の安い宿にも十分恩恵があったということですね。
7~8月の活用についてデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー社が『一泊3万円以上の高級宿は稼働率が46%押し上げられ、3万円未満の宿は15%弱に留まった』という分析をしています が、10月まで同じ計算を行うと一泊3万円以上の高級宿の稼働率は50%、3万円未満の宿は21%の押し上げ効果となります。
確かに割合で言えば高級宿の方が恩恵は大きかったのでしょうが、記事によると一泊3万円以上の高級宿は全体の1%強(2万室/160万室)にすぎません。96%のGoToトラベル利用者が99%を占める非高級宿に宿泊しているわけですから、高級宿に恩恵が偏っているというのは言い過ぎではないかと思います。

非常事態宣言が発令・延長され、GoToトラベル再開の見通しもまだ立っておりませんが、感染者は確実かつ急速に減少しています。重症者数もピークから3割減り、入院治療等を要する患者はピークからほぼ6割減になっています。


この状況で未だに医療崩壊云々と報道されることに非常に違和感を覚えますが、収束に向かっているのは間違いありません。
散々記事にしてきたとおり 、飲食・宿泊業は窮地に陥っています。早急なGoToキャンペーンの再開を求めます。